Research Project
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
(1) 今年度は、昨年度にクローニングした新規Rel-Ankyrin family因子59kDa蛋白の解析を更に進めた。既知のRHDとAnkとを有するrel family転写因子は活性化に伴うAnkyrinの分解が知られており59kDa蛋白は、分解することなく核において転写調節に働く点で、未知の転写活性化メカニズムに関与することが示唆されていた。まず、全長cDNAを用いて作成したりコンビナント蛋白の転写制御配列への結合能を解析した結果、確かにAnkyrin部分を含んだまま、認識配列に結合することが確認された。次に、このcDNAをハエ由来の培養細胞において強制発現させ、標的遺伝子の制御領域を持つレポーター遺伝子の転写活性化について解析したところ、単独では転写の活性化は見られず、co-factorあるいは何らかの修飾が必要であると考えられた。そこで、現在までに単離されているrel転写因子(Difやdorsal)との協調作用について解析したが、そのような作用は見られなかった。これらの結果は未だ解明されていない、昆虫生体防御の遺伝子制御機構における新たなシグナル伝達メカニズムの存在を強く示唆するものである。更に、59kDa蛋白の発現の組織特異性に関してウエスタンプロット解析を行った結果、予想された脂肪体組織以外にも様々な組織で発現していることがわかった。既知の生体防御転写因子とは異なる特色として、消化管に非常に強く発現が見られた。消化管は採餌により侵入する異物にふれる組織であることから、59kDa蛋白により制御される生体防御蛋白の存在が考えられる。(2) レクチン遺伝子転写制御領域をレポーター遺伝子の上流にもつhybrid遺伝子をショウジョウバエに導入し、そのtransformantを得た。現在、生体防御応答にてレポーター遺伝子の発現が誘導されることを確認中である。(1)の研究で見つかった新たな細胞内シグナル伝達系と、(2)で構築したレポーター遺伝子を導入したショウジョウバエで解析する細胞外シグナルとを組み合わせて、昆虫生体防御遺伝子の活性化経路の解明が可能になった。
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