アミロイド前駆体タンパク質の細胞外放出機構の解析およびその生理的意義の解明
Project/Area Number |
09780579
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Functional biochemistry
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
東 昌市 横浜市立大学, 木原生物学研究所, 助手 (10275076)
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Project Period (FY) |
1997 – 1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1998: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | アミロイド前駆体タンパク質 / ゼラチナーゼA / MT-MMP / プロテアーゼインヒビター / プロセシング / マトリックスメタプロテアーゼ / マトリックスメタロプロテアーゼ |
Research Abstract |
これまでの研究成果から、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMPs)のひとつであるゼラチナーゼAが、あるいはMT-MMPが細胞膜表層でアミロイド前駆体蛋白質(APP)に作用すると、通常、細胞外に放出されているAPP細胞外領域(sAPP,110 kDa)より短い断片sAPPtrc(80 kDa)が切り出されることを見い出した。本年度は化学修飾によって、機能を変換したtissue inhibitor of metalloproteinases-2(TIMP-2)を用いてプロセシング酵素を特定するとともに、sAPPtrcの機能を解析し、このプロセシングのもつ生理的意義について考察した。まず、TIMP-2をシアン酸イオンで処理すると、TIMP-2のNH_2-末端Cys-1のα-アミノ基がカルバミル化されるとともにインヒビター活性を失うことを見い出した。TIMP-2のもう一つの機能であるゼラチナーゼA前駆体との相互作用はこの化学修飾による影響を受けなかった。このカルバミル化TIMP-2を培養細胞に添加すると細胞膜上のMT-MMP,TIMP-2およびゼラチナーゼA前駆体からなる3分子複合体の形成を拮抗的に阻害し、結果としてゼラチナーゼA前駆体の活性化を抑制した。したがって、カルバミル化TIMP-2はMT-MMPの触媒活性を阻害することなく、活性型ゼラチナーゼの産生を抑えることが判明した。一方、sAPPtrcの産生はTIMP-2によって阻害されるものの、カルバミル化TIMP-2では抑えられず、sAPPtrcはMT-MMPの触媒により産生されることが示唆された。さらに、sAPPtrcはSAPPのもつゼラチナーゼAインヒビター領域をの活性を失っていることが判明し、MT-MMPが触媒するAPPのプロセシングには以下のような意義があるのではないかと考察した。すなわち、MT-MMPの近傍ではsAPPtrcが産生されているため、活性化されたゼラチナーゼAがマトリックス分解能を持つが、それ以外の部分では、ゼラチナーゼA活性がsAPPによって阻害されるため、APPはマトリックス分解を空間的に調節する分子として働くのではないかと考えた。
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Report
(2 results)
Research Products
(6 results)