Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Research Abstract |
大腸菌の「味覚」センサーである化学感覚レセプターについて以下のような知見を得た. (1) リガンド識別機構の解析.二つのレセプターTarとTsrのキメラの作成および部位特異的変異の導入により,リガンド(アスパラギン酸とセリン)特異性の決定に関わる残基を特定した(投稿準備中). (2) 抑圧変異を利用した膜貫通領域の解析.Tarの第一膜貫通領域(TMl)内の変異A19Kに対する抑圧変異のうち,第二膜貫通領域(TM2)に起こったものについて解析し,サブユニット間抑圧を示す「クラス1変異」と,示さない「クラス2変異」に分かれることを見出した.さらに詳細な解析の結果,クラス1変異の抑圧機構として,TMl-TM2間の塩橋の形成が示唆された(論文2).これは,シグナル伝達過程における膜貫通領域の動きを知る上で重要な成果である. (3) 温度受容機構の解析.Tarの温度受容能は,リガンドに適応してメチル化を受けると逆転する.部位特異的変異とメチル化酵素大量発現系を組み合わせた実験から,温度受容能の逆転には,わずか1分子のメチル化で充分であるという驚くべき知見を得た(論文4).また,TM2の変異によって,リガンド非依存的に温度受容能の逆転を引き起こすことも見いだした(論文3).これらは,温度受容機構のみならずシグナル伝達機構そのものを理解する上でも重要な成果である. (4) ダイマー間のメチル化酵素を介した相互作用の解析.主要なレセプターのC末端にはNWETFという共通配列があり,メチル化酵素CheRが結合することがin vitroで示されている.変異Tarについて解析し,NWETF配列が確かにin vivoでCheR結合部位として働くことを示唆する結果を得た(論文1).このNWETF配列とCheRとの相互作用は適応機構の鍵となるものであり,さらに詳しく解析中である.
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