Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1998: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Research Abstract |
本研究では,蛋白質の折れ畳み初期過程で働く相互作用の種類を知るために,アポミオグロビンの二量体を遺伝子工学の方法で合成し,単量体との性質の違いを調べることを目的とした.以下の成果を得た. 1. 二量体アポミオグロビンの合成.二つのミオグロビンのNとC末端を遺伝子工学の方法を使ってつなぎ,二量体化した.遺伝子の作成に手間がかかったが,二量体蛋白質の合成に成功し,性質の決定を行っている. これまでの結果は,ミオグロビンは二量体化しても,安定性が単量体と比べてあまり落ちていない.すなわち,蛋白質が折れ畳む速度は,単量体と二量体であまり変わらないようにみえる.今後,実際の折れ畳み速度の測定を行い観察を確かめた上で,学会発表する予定である. 2. 高速CD測定装置の開発.二量体ミオグロビンの折れ畳み過程測定の手段として,サブミリ秒の時間分解能で折れ畳み中間体のCDスペクトルを測定する装置の開発を行った.いくつかの問題点を解決することで,約500μsの時間分解能を持つ装置を作ることに成功した. 二量体アポミオグロビンの合成が遅れたため,チトクロムcを使い,折れ畳み過程のCD測定を行った.得られた結果は,チトクロムcが折れ畳む際に,いったん蛋白質全体が収縮した後に,二次構造が増加することを示している.この結果は,本年度の谷口シンポジウムで発表した. 本研究を通じ,蛋白質の折れ畳み初期過程について,いくつかの重要な知見を得ることに成功した.ミオグロビンの結果は局所的な相互作用が働くこと,チトクロムcの結果は非局所的な相互作用が働くことを示している.今後,実験を重ねることで,総合的な知見を得ることが必要である.結果の論文化が遅れているが,半年以内に公表する予定である.
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