Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1998: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
低いpH下でも高活性を保つ全く新規な光合成電子伝達である、シダ植物由来プラストシアニン(PC)について、pH4.5での酸化体および還元体のX線構造解析をそれぞれ1.7A、1.8A分解能で行った。その特異な低pH耐性は、中心金属である銅イオンに配位するHis87のイミダゾール環と、すぐ隣に位置するPhe12の芳香環との間のπ-πスタッキング相互作用にあることが判明した。12番目のアミノ酸は全植物由来PCでLeu12であり、このアミノ酸置換が耐pH高活性と特に深く関係することが分かった。なお、全ブルー鋼蛋白質の中でも配位構造にπ-πスタッキング相互作用が見られたのは初めての報告例である(J.Biol.Chem.,1999,in press)。一方、還元の際の構造変化については、電子伝達経路の1つと考えられているTyr83に水素結合しているGIu59が、プロトン化して側鎖がフリップすることが分かった(Submitted toBiochem.)。また、植物の進化に関する知見を得るため、PCの分子進化について検討を加える目的で、高等植物マンテマ由来PCの野生型および変異体(J.Biochem.,1999,in prcss).緑藻UIVa pertusa由来PC(J.Biol.Chem.,1999,in press)、ラン藻由来PCの酸化体および還元体(Biochem.,1999,in press)のX線構造解析を、それぞれ、2.0A、1.75A.1.6A、1.9A、1.8A分解能で解析した。通常PCの4番目と5番目のβ-ストランドの間には半巻きのα-へリックスがあるが、この部分のアミノ酸配列の相同性が著しく低く、ヘリックスの長さがラン藻やシダ植物由来のPCでは長く、Gly49の保存性と関係することが分かった。PCはその電子供与体であるCytochromeb_6/f複合体を酸性パッチ付近で認識する。高等植物および緑藻由来PCで特に酸性パッチの保存性が高く、7残基の酸性アミノ酸で構成されるが、シダ植物およびラン藻類由来PCでは2残基で、しかも塩基性アミノ酸で中和されていた。ラン藻および一部の緑藻では、Cytochrome b_6/f複合体から光化学系Iへの電子伝達過程はPCとチトクロムC_6が相補的な役割を果たす一方で、高等植物ではPCのみが担うことから、進化の過程で酸性パッチの獲得がPCの進化にとって必須であったことが推測された。
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