サルの視床髄板内核群から線条体への投射の行動学習における役割
Project/Area Number |
09780770
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
神経・脳内生理学
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松本 直幸 大阪大学, 健康体育部, 助手 (00252726)
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Project Period (FY) |
1997 – 1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1998: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | 大脳基底核 / 線条体 / 正中中心核 / 束傍核 / 報酬 / 視床髄板内核群 / 黒質緻密部 / 条件づけ / 行動学習 / ムシモル / ドーパミン |
Research Abstract |
視床の正中中心核(CM)および束傍核(Pf)から線条体への投射に関してはその機能的な意義が明らかではない。本研究は、線条体の細胞が行動の学習を通して新たな活動を獲得する上で、視床からの投射がどのような役割を持つのかを明らかにすることを目的として行った。 感覚刺激と報酬を連合させた条件づけ課題および感覚刺激を報酬とは無関係に単独で呈示する課題を用いて、線条体の介在細胞(TANs)およびCM/Pfの細胞から記録を行った。感覚刺激としてclick音、beep音およびLEDの3種類の刺激を用いた。条件づけ前ではTANsはいずれの刺激に対しても明確な応答は示さなかったが、約3週間の学習を経て約半数(59/121)のTANsが条件刺激のclick音に対して応答を示すようになった。しかし報酬とは無関係の感覚刺激に対しては明確な応答を示さなかった。一方、CM/Pfからは感覚刺激に対して潜時の異なる2種類の細胞が記録されたが、いずれの細胞の応答も報酬の有無とは関係なく、これは学習の前後で変わることはなかった。 さらに学習の完成後、CM/Pfにムシモルを注入すると、条件刺激に応答するTANsはわずか14%にまで減少した。このことからCM/Pfから線条体への投射がTANsの反応の形成に必須であることが確認された。また3種の刺激の呈示が予測できない条件下では、CM/Pfの長潜時の応答を示す細胞は強く応答したが、単独の刺激を連続して呈示するとその応答は次第に減弱した。このことからCM/Pfの活動は、警戒や覚醒のレベルに大きく依存していることが強く示唆された。 以上より、TANsの報酬依存的な活動の獲得には、主にCM/Pfからの警戒や覚醒に関する情報と黒質線条体ドーパミン系からの報酬や強化に関する情報の2つの入力が必須であることが確認された。
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Report
(2 results)
Research Products
(11 results)