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仏教史にみる危機意識克服の過程の解明

Research Project

Project/Area Number 09871004
Research Category

Grant-in-Aid for Exploratory Research

Allocation TypeSingle-year Grants
Research Field 印度哲学(含仏教学)
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

下田 正弘  東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教授 (50272448)

Project Period (FY) 1997
Project Status Completed (Fiscal Year 1997)
Budget Amount *help
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Keywords初期仏教 / 苦 / 実存 / 危機意識 / 無常 / 無我 / 自己
Research Abstract

本研究の目的は、アジア一帯においてさまざまな文化的な価値形成に大きな役割を果たしてきた仏教を、人々が天災や人災を通して危機意識に直面したとき、それにいかに対応し克服する態度醸成に関わったか、という点から明かすことにある。今年度はそのケーススタディとして、仏教起源のインド初期仏教の資料、ことにニカーヤ、律蔵に存在する伝記資料の分析を行った。その結果、自然災害や人的迫害などに出会った者が、ブッダに出会い、苦の自覚から再生へと発展するパターンの底に見られる、苦と自己との関係という基本構造が、およそ明らかとなってきた。
ここで重要なのは、災害等に出会った者たちが、その当面に顕在化した苦痛にあらゆる意味を奪われて、けっして苦悩の淵源を洞察する態度にまで至れない点である。苦があくまで外的な偶然の原因によって不当にもたらされた結果として受け取られ、苦に至る以前の状態を恒常のものとして追い求めていこうとする。ブッダの問いはそこに投げかけられ、変わらぬ状態を固定しようとする中に、苦の本源があり、それは自己存在の一様態にほかならないことを自覚させようとしている。その意味で苦は退けられるべきものではなく、取り逃がさないようにかえって深められるべきであり、それを通してより深い自己の露呈と、深化された解放の可能性が示唆される。
苦と無常、無我の関係は、こうした実存的な関係として据えられるべきである。また、苦という概念は、恐怖から不安まで、実存が関わる身上を幅広く包括する、その意味で曖昧な概念であり、さらに下位レヴェルでの分析の必要がある。最後に付言すれば、こうした救済例はあくまで宗教的エリートが立ち至った世界であり、広く確認される大衆的な救済例は、別途確認されねばならないだろう。

Report

(1 results)
  • 1997 Annual Research Report
  • Research Products

    (1 results)

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All Publications (1 results)

  • [Publications] 下田正弘: "阿蘭若処に現れた仏教者の姿" 日本仏教学会年報. 63号(予定). (1998)

    • Related Report
      1997 Annual Research Report

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Published: 1997-04-01   Modified: 2016-04-21  

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