Project/Area Number |
09874101
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Petrology/Mineralogy/Science of ore deposit
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
木股 三善 筑波大学, 地球科学系, 講師 (20143167)
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Project Period (FY) |
1997
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1997)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1997: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
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Keywords | ザクロ石 / 酸性火山岩 / 炭化水素 / Sr同位体比 / LILE / HFSE |
Research Abstract |
酸性火山岩に比較的稀に産する斑晶ザクロ石は、1950年代以降、様々な議論が沸騰し、現代岩石学が熱視する問題の一つであった。止目される理由は、斑晶ザクロ石が単にザクロ石の生成だけでなく、酸性火山岩マグマの起源に関しても重要で、島孤マグマティズムを解明する鍵となるからである。本研究では大構造線の隣接域である神奈川県丹沢山地(流紋デイサイト)・山梨県河口湖畔(長浜・淵坂峠)(デイサイト)・富山県朝日町(デイサイト)・三重県御浜町(熔結凝灰岩)に産する含ザクロ石酸性火山岩について、母岩及びザクロ石の化学組成・同位体組成、炭化水素を報告し、それらの生成機構について考察する。 ザクロ石はいずれも自形を呈し、EPMAよる分析の結果、アルマンディンに富むパイラルスパイトと同定された。また全岩組成は、丹沢産・河口湖産に比べて、朝日町産・御浜町産の火山岩の方が、インコンパティブル元素に富んでいる。炭化水素は、前弧側の丹沢産、長浜・淵坂峠産、御浜町産のザクロ石から検出されるものの、背弧側の朝日町産からは観測されていない。さらに、ザクロ石及びその母岩の^<87>Sr/^<86>Srを測定した結果、丹沢山地及び河口湖産の含ザクロ石酸性火山岩は、Sr同位体比が低く、伊豆一小笠原孤の値(約0.7035:Notsu et al.,1983)に類似する。従って、沈み込むスラブの影響が強いと思われる。一方、朝日町産の含ザクロ石デイサイトは、62Maと古く、日本海の拡大(約20Ma:Kaneoka,1990)以前であるため、厚い大陸地殻の影響を受けていると考えられる。また、御浜町産の含ザクロ石熔結凝灰岩は、熊野酸性岩の一部であり、その成因と考えられている四万十帯や秩父帯などの厚い堆積物の影響を受けていると思われる(中田・高橋)。このように、各産地の含ザクロ石酸性火山岩は、沈み込むスラブの影響や地殻成分の取り込みに、テクトニクスが反映している。 本研究で、含ザクロ石酸性火山岩は、その周辺域に存在するザクロ石を含まない酸性火山岩と比較すると、High Field Strength 元素(HFSE)に対してLarge Ion Lithophile元素(LILE)が枯渇する傾向にあたることが認められた。LILEはザクロ石に対してインコンパティブルであり(Green,1994)、HFSEに比べてLILEに富むということは、ホストマグマ中でのザクロ石の結晶化にとって好ましくないと考えられる。 結論的には、液相濃度集元素としてのLILEに枯渇する酸性マグマが、ザクロ石を結晶化すると考えられる。従って沈み込みに伴うH2OやCO2などの流体の挙動によって、HFSEに比べて移動しやすいLILEに枯渇する酸性マグマが発生する機構が、沈み込み帯に連結する前孤・背孤の両島孤下に存在すると予察される。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)
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[Publications] Nishida,N.、Kimata、M., Kyono,A., Togawa,Y., Shimizu,M. and Hori,H.: "First finding of thallium-bearing ammonioleucite:A signal for the ultimate stage of the hydrothermal process and for a far-reaching effect from seawater alteration of MORB." Ann.Rep.,Inst.Geosci,Univ.Tsukuba. (印刷中). (1997)
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