Project/Area Number |
09874107
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
地球化学
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
清水 洋 熊本大学, 理学部, 教授 (60090544)
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Project Period (FY) |
1997 – 1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1998: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 風成堆積物 / タクラマカン砂漠 / 大陸地殻 / 黄土 / 氷河作用 / 中国大陸 |
Research Abstract |
本研究では、中国大陸の砂漠地域の風成堆積物や黄土の運搬・堆積作用を通しての均質化過程を検討し、黄土が中国大陸の上部地殻の平均化学組成であるとの考えの妥当性を検証した。 1. 中国タリム盆地のタクラマカン砂漠の風成堆積物について堆積学的・鉱物学的研究を行い、次のことを明らかにした。タクラマカン砂漠の風成堆積物は、サウジアラビア等の砂漠の風成堆積物と比較すると、石英の割合が相対的に少なく、石英粒子の円磨度が悪いなど、堆積学的には未成熟である。しかし、タクラマカン砂漠の風成堆積物は、鉱物組成や化学組成において地域差が認められないことから、タクラマカン砂漠風成堆積物の均質化の原因として、供給物質の周辺の山脈における氷河による堆積・運搬過程での均質化の重要性を指摘した。氷河作用により均質化された物質がタクラマカン砂漠に供給され、砂漠内部における風成作用によりさらに均質化が進行したと考えることが妥当であることを示した。 2. 黄土高原とオルドス地域の黄土は、主成分元素組成・希土類元素存在度・Sr同位体組成の特徴が中国北西部のタリム盆地の黄土とタクラマカン砂漠の砂丘堆積物と類似していることを明らかにした。この結果から、黄土高原とオルドス地域の黄土の主要な供給源は、中国北西部のタリム盆地の風成堆積物であることを指摘した。 3. ジュンガル盆地・ナイマン地域・南京の黄土は、タリム盆地の砂丘堆積物や黄土とはSr同位体組成・主成分元素組成・希土類元素存在度の特徴が異なることを明らかにし、黄土高原やオルドス地域の黄土とは供給源が異なっている可能性を指摘した。 4. 中国の黄土は、中国北西部のタリム盆地から由来した黄土とそれ以外の場所から由来した黄土の、少なくとも2種類に大別できる事を明らかにした。この結果は、「中国各地の黄土が同一の物質であり、その化学組成が中国大陸の上部大陸地殻の平均化学組成を表している」とする従来の見解に再検討の必要があることを示している。黄土高原やオルドス地域の黄土などの中国北西部のタリム盆地から由来した黄土は、比較的広い範囲の地殻物質の平均的な化学組成を示している可能性が高いことが結論される。
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