Project/Area Number |
09874174
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
生物形態・構造
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野崎 久義 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (40250104)
|
Project Period (FY) |
1997 – 1998
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
|
Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 1998: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
|
Keywords | ピレノイド / CO_2濃縮機構 / Chloromonas / 葉緑体 / 緑藻植物 / 形態学 / 光合成 / 分子系統 / Rubisco |
Research Abstract |
昨年度明かになった、ピレノイドがなくCO_2濃縮機構を保持しているChloromonas2株の細胞内に蓄積された無機炭素の濃度はピレノイドをもつCd.reinhardtiiと比較すると1/10程度の値であり(Moritaet al. 1998, Planta 204:269-276)、これらの差がピレノイドの有無に関係するのか、両者の系統的差異によるものかを確かめる必要があった。そこでBuchheim et al.(1997,J.Phycol.33:286)が18S rRNA遺伝子系統樹でChloromonasに近縁であると示唆したChlamydomonas等6株を取りよせて詳細なRuBisCOの免疫電子顕微鏡観察を含む微細形態学的観察とCO_2固定に関する生理学的特性に着目した比較生物学的研究を実施した。その結果、これら6株はすべて葉緑体内にRuBisCOの集中したピレノイド構造をもつが、RuBisCOの集中度が低く典型的なピレノイドスターチに囲まれていないものと、RuBisCOの集中度が高く典型的なピレノイドスターチをもつものに分類された。前者のピレノイドをもつものはピレノイドを欠くChloromonasと同様に低い細胞内の無機炭素の濃度を示し、後者はCd.reinhardtiiと同程度に高い値を示した。更にrbcL遺伝子1128塩基対を用いた詳細な系統解析の結果、前者のタイプは後者の典型的なピレノイドをもつものから2個の独立した系統群で派生的に平行進化している事が判明し、「高濃度のRuBisCOをもつピレノイドスターチで囲まれた典型的なピレノイド」が「細胞内の高い無機炭素の濃度」に関係している事が強く示唆された。これはピレノイド構造とCO_2濃縮機構に関する今まで示唆されたことのない具体的な関係である。また、単細胞性緑藻Chlorogoniumの比較形態学的観察とrbcL遺伝子1128塩基対を用いた系統解析の結果、unstabele pyrenoidとstable pyrenoidが単系統種を識別する形質であると判明し、C.elongatumにおいて前者のタイプのピレノイドから後者に進化した可能性が示唆された。
|