粒子コードを用いた大気圧・高周波プラズマの構造解析(シース領域を構成する粒子群の振る舞いとその制御パラメータの診断)
Project/Area Number |
09875038
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
機械工作・生産工学
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
片岡 俊彦 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50029328)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
押鐘 寧 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (40263206)
遠藤 勝義 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (90152008)
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Project Period (FY) |
1997 – 1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 大気圧・高周波プラズマ / 時空間分解発光分光計測 / 非発光励起種 / シース / 平均自由工程 / 負グロー / 準安定粒子 / 吸収分光計測 / ボルツマン方程式 / 衝突断面積 / 輸送係数 |
Research Abstract |
Heガスを用いて発生させた高周波プラズマのバルク部とシース部での発光スペクトルの違いを光スペクトラムアナライザにより測定した。ガス圧力が1〜3気圧の場合、電極表面に薄く発生するシース部からの発光スペクトルには、バルク部の発光スペクトルよりも強度の強い、多種の線スペクトルが見られ、シース領域が非常に活性であることが推測された。中性He原子からの特徴的な発光スペクトルが何本も観測され(388nml,501nm,587nm,706nm)、それらの波長に対応したバンドパスフィルタを用いて、時空間分解発光分光像を観測した。電極は銅を用い、電極間隔は1mmとして、発光励起種の違いによる発光分布を観察した。501.57nm(3^1P→2^1S)および587.56nm(3^3D→2^33P)の発光像には、プラズマバルク部にも発光が現れているが、706.52nm(3^3S→2^3P)では観測されなかった。587.56nmと706.52nmとでは、発光に際して落ちてゆく下準位が同じであるにもかかわらず、発光分布が異なっていた。両者の間には励起エネルギーにほとんど差がないので、それぞれの励起過程、励起断面積の違いが如実に現れたといえる。 装置系の分光感度特性を校正し、相対比較した場合、放射寿命の長い準位からの発光である388.86nm(3^3P→2^3S)は、発光強度の時間変化が少なく、放射寿命の短い準位からの発光である587.56nm(3^3D→2^3P)は、高周波電界の変化を反映した。 He高周波プラズマの時間積分発光像を、ガス圧力を変化させて観測した結果、ガス圧力の増加に伴って、電極付近に形成されているシース部の発光強度が増加し、この領域が厚さが狭くなってゆくことがわかった。これは、プラズマ中の活性な領域が、電極近傍により局在化することを意味し、プラズマCVD、大気圧プラズマCVDにとっては、好都合の現象といえる。また、1気圧以上のガス圧力の場合には、プラズマのバルク領域にも発光が現れてくることがわかった。通常の低圧プラズマでは、この様な現象は観測されないので、大気圧以上のプラズマに特有の現象といえる。 電極材質に銅(導電体)とアルミナ(絶縁体)を用いた場合の、銅電極では、電極近傍にシース部の強い発光が生じており、活性なプラズマ領域が繰り返し生成されていると考えられる。これに対して、アルミナ電極の場合には、シース領域の幅が広く、また発光強度が弱くなった。これは、絶縁体のチャージアップ効果が原因となり、プラズマ部に印加される正味の高周波電圧が減少したためと考えられる。He大気圧・高周波プラズマの発生条件のうち、電極間隔を変化させた観測結果では、シース部の厚みに変化はなく、バルク部(左右のシース部に挟まれた中央の暗部)の厚みが変化するだけであった。この結果からも、大気圧・高周波プラズマの主要部分は電極表面近傍のシース部であることがわかった。 これらの項目を検討する出発点となった、流体モデル=局所電界近似法によるシミュレーションを行なった。この結果は、定性的に大気圧・高周波プラズマの時空間分解発光分光計測結果を説明できているので以下に報告する。 圧力が異なる場合の、He高周波プラズマ中の電界強度の時空間分布を求めた。駆動周波数150MHzの1周期分の変化を観察したところ、時間的にsin波である電界で電極を駆動したところ、プラズマ中の電界の時間変化と駆動電界の時間変化との位相差、電極近傍に発生する強い電界を持つ部分、ガス圧力をあげることによるシース部の厚さの減少、などが確認できた。また、電極間隔を変化させたところ、実験結果から推測されるように、電界の弱いバルク部の長さが変化したのみで、シース部には変化は見られなかった。
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Report
(2 results)
Research Products
(8 results)