Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1998: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
本研究では,1981年に提案されて以来,まだ特性が十分に吟味されていない両側有界極値分布(EVLUB分布)について,理論的・数値実験的にその特性を検討するとともに,水文頻度解析に上下限値を物理量として導入することの意義を明らかにした。得られた成果は以下のようである。(1)EVLUB分布,Slade型の両側有界対数正規分布,下限有限・上限無限大の3母数対数正規分布を比較対象として,降水量や河川流量の年最大極値データセットにこれらを当てはめ,適合度を調べたところ,標本ひずみ係数が1以上の極値データセットに対してEVLUB分布が良い適合を示す傾向があることがわかった。また,上下限の値によって分布の適合度がどのように変わっていくかが明らかになった。(2)ブートストラップ法によってT年確率水文量とその推定精度を求めたところ,EVLUB分布は,大きい目のT年確率水文量を与えるが,相対的なブートストラップ推定誤差は他の分布よりも小さいことがわかった。(3)母分布を設定したモンテカルロ実験によって,母数推定値の推定精度,再現確率統計量の推定精度を平方根平均二乗誤差を評価基準として評価した。このとき,変量の規準化を行うことによって,EVLUB分布の2つの母数と基本統計量との関係を数値解析的に明らかにした。また,EVLUB分布は,上限無限大の3母数対数正規分布と比べると,小標本に対する確率水文量の推定精度がはるかに良いこと,母ひずみが小さいほど確率水文量の推定精度は良くなることがわかった。(4)水文頻度解析に上下限値を物理量として導入することは,現象合理的・科学的合理的であるとともに,外挿部(分布の両裾部)の不安定性の軽減といった実用的合理性がある。本研究によって,このことが実証されたので,水文分野のみならず他の自然現象に対しても適用可能な頻度解析の新しい方向性を提示することができた。
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