化学ポテンシャル勾配を利用した新しい傾斜機能材料に関する研究
Project/Area Number |
09875164
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Structural/Functional materials
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大谷 博司 東北大学, 学際科学研究センター, 助教授 (70176923)
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Project Period (FY) |
1997
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1997)
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Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
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Keywords | 化学ポテンシャル勾配 / HSLA鋼 / 局所平衡 / 傾斜機能材料 / 最適傾斜分布 |
Research Abstract |
従来の傾斜機能材料は、化学蒸着法や物理蒸着法,スプレー法や焼結法など、主として動的プロセスを利用した合成法により製造されてきた。そのため合成の最適条件を決めることが一般に困難で、安定した傾斜機能を発現させる上でまだ解決すべき多くの問題が残されていると言える。本研究では化学ポテンシャル勾配を利用した傾斜機能材料の新しい構造プロセスについて検討することを目的として、次のような研究を遂行した。すなわち、研究対象に、機能材として優れており、また熱力学的性質がよく検討されている鉄鋼材料を選び、普通鋼,HSLA鋼,高速度鋼,ステンレス鋼など主要な鋼種について、その状態図および化学ポテンシャル図に関するデータベースを構築した。これらを用いて種々の鋼種の組み合わせによる拡散対を想定し、その反応経路を化学ポテンシャル勾配の観点から考察した。その結果、たとえば低Mn低Cの普通鋼(Fe-0.2Mn-0.04Cなど)と高Mn高CのHSLA鋼(Fe-1.2Mn-0.12Cなど)を圧接して600℃前後で拡散処理した場合、熱処理後のC濃度は組成勾配から考えて全合金中で均一にならされるように思えるが、実際には高CであるHSLA鋼が普通鋼のCをほとんど吸収し、より高いC組成を有するように変化するなど、いくつかの興味深い知見が得られた。これは、現実の拡散現象が濃度勾配ではなく化学ポテンシャル勾配によって決定されるためにおこる現象である。今後はこれらの新しい知見をもとに、平衡化熱処理後の拡散対内における合金組成の経時変化を、界面における局所平衡理論と拡散方程式の適用によりシミュレートしていく事を計画している。この結果と実験値との対応を調べることにより、最適傾斜分布の予測に関する理論的根拠の確立を図る事が出来るものと考えている。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)