Project/Area Number |
09875189
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
反応・分離工学
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中尾 真一 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (00155665)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 猛央 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (30272363)
|
Project Period (FY) |
1997
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1997)
|
Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1997: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
|
Keywords | イオンゲート / 膜 / ゲル / プラズマグラフト重合 / クラウンエーテル |
Research Abstract |
本研究では特定イオンを認識して開閉するゲート機能を持つ膜を開発する。特に生体内で重要な機能を演じるカリウムイオン濃度を認識するゲート膜を開発する。カリウムイオン濃度と生体の異常とは密接な関係があることが知られている。多孔性基材内部にカリウムを補足するクラウンエーテル(CE)を有する感温性ゲルをグラフト鎖として固定するCEがカリウムイオンを補足するとゲル中での親疎水性のバランスが変化するため、CEを含む感温性ゲルの相転移温度(LCST)は変化するはずである。一定温度で供給液中のカリウム濃度を変化させれば、カリウムを補足していない状態ではゲルは収縮しているが、カリウムを補足すると膨潤する事になる。つまり微妙なカリウム濃度の変化によりゲル中に補足されるイオン濃度が変化し、ひいてはゲル自体の親疎水性も変化する。これによりグラフト鎖の膨潤・収縮を行い、基材細孔を開閉する。 基材として多孔性高密度ポリエチレンフィルム、重合モノマーとしてn-イソプロピルアクリルアミド(NIPAM)および新たに合成したベンゾ18クラウンを有するモノマーを用い、プラズマグラフト重合法により基材細孔表面にグラフト共重合鎖を固定した。 FT-IRマッピング法を用いた構造評価の結果、CEを有するNIPAM鎖がほぼ均一に多孔性基材細孔中に固定できたことを確認した。また、固定したゲル鎖はCEにより補足されるカリウムまたはバリウムが溶液中に存在するときにだけ選択的にLCSTを変化させ、CEに補足されないカルシウム、ナトリウム濃度には殆ど影響を受けなかった。 全イオン濃度を一定とし、カリウムを添加した供給液および添加しない供給液を交互に流した透過実験結果では、カリウムを流したときにのみゲル鎖が膨潤し、細孔を閉塞したため、透過液フラックスは数十分の一にまで減少した。この変化は可逆的であり、サイクルを繰り返しても同様の結果が得られ、またその変化は1分以内に終了した。 本研究で目指したカリウムイオンを認識する人工ゲート膜の開発に成功した。
|