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¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1997: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
強誘電性液晶(FLC)は対称中心のない液晶相(強誘電相)を示し,液晶分子は頭-頭で配列する。高い秩序構造を示すFLCに重合基を導入すれば,重合基は規則的にしかも非常に接近した状態で存在し特異的な重合挙動を示すことが期待できる。そこで,FLCモノマーを分子配向下において光重合し,立体規則性制御および光重合挙動について検討した。セルギャップが2μmの液晶セル中にFLCモノマーを封入し,様々な相構造を示す温度で高圧水銀ランプの366nmの光を照射することによって光重合した。初期重合速度は分子配列に大きく影響され,カイラルスメクチックC(SmC^*)相の温度領域で最大となることが明らかとなった。次に,液晶セルに外部電界を印加し,FLCモノマーに表面安定化状態(双極子が同一方向へ揃った状態)をとらせた状態で同様の光重合を行った。電界印加下における重合性は無印加状態のときより低下し,重合初期過程ではFLCモノマーの重合性は分子配向性と分子運動性の二つの因子に依存することがわかった。対照的に,重合後期過程おける重合性は温度とともに増加し,分子運動性が支配的要因となることが明らかとなった。これは,重合後期過程では重合初期の分子配列は保たれず,生成ポリマーの蓄積によって相構造変化が誘起されることに起因する。 また,光重合によって得られたFLCポリマーの配向性を偏光顕微鏡を用いて評価した。特に表面安定化状態で光重合した場合,FLCポリマーは光照射前と同様なSmC^*相を示すことがわかった。このようなSmC^*相の固定化は,FLCポリマーの光学素子への応用の観点から興味深い。立体規則性の制御に関しては,表面安定化状態での重合によっても達成することができなかった。本研究成果を踏まえてFLCモノマーの分子設計を再考する必要がある。
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