Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 1998: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
一方向的交雑不親和性は,3つの遺伝子(Cinf,Su-Cinf,cinm)によって決定されることは既に報告した。これらの遺伝子はいずれも第6染色体短腕上に座乗しており、複合遺伝子座として作用していた。今年度の結果から、これまでに見いだされた遺伝子型は、cinf,su-Cinf,Cinm(野生イネ)、cinf,su-Cinf,cinm(日本型)およびcinf,Su-Cinf,Cinm(インド型)であると推定された。さらに、アフリカイネがcinf,su-Cinf,Cinmと推定されたので、未発見の遺伝子型はCinf,Su-Cinf,Cinm、Cinf,Su-Cinf,cinm、Cinf,su-Cinf,cinm、cinf,Su-Cinf,cinmの4型となった。これらの遺伝子作用を考慮すると、Cinf,su-Cinf,cinmは自殖種子が退化するので自然界には存在しないものと予想される。遺伝解析の結果から、これら3つの遺伝子は全て芽胞体的に発現することが明らかになった。このことから、減数分裂前に発現した情報が雌雄両側から伝達され受精後の発育に関与する可能性が強く示唆されることとなった。このことは、交配相手を認識して雑種胚を退化させる遺伝情報の伝達を遺伝学的に証明できた最初の事例であると考えられる。この3つの遺伝子のうち、Su-CinfとCinmは強く連鎖していると推定されるが、両遺伝子をもつインド型系統からこの領域に関するリコンビナント・インブレッド系統を育成した。また、遺伝子組成の異なる系統から、異なる長さの外来染色体断片をもつ系統を作出した。外来染色体断片を分子マーカーによって検出し、各遺伝子の詳細な位置を決定するため、RPLP分析を行った。その結果、Su-CinfとCinmは第6染色体動原体近傍に位置することが判明した。位置情報が分子地図と対応したので、今後特定領域の詳細な解析をリコンビナント・インブレッド系統を利用して進めることが可能となった。
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