半倍数性昆虫における性比の偏りと変動の生態学的意義:理論的および実験的解析
Project/Area Number |
09876014
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
植物保護
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
久野 英二 京都大学, 農学研究科, 教授 (10026560)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 隆義 京都大学, 農学研究科, 助手 (60208189)
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Project Period (FY) |
1997 – 1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1998: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Keywords | 産雄単為生殖 / 局所的配偶者競争 / 個体群動態モデル / カブラハバチ / 生態的最適性比 / 進化的最適性比 |
Research Abstract |
前年度に引き続き,ハバチやアザミウマなど,内交配が常態でない半倍数性昆虫における性比の実態について,過去の研究データとカブラハバチを用いた室内実験をもとにその特徴を整理した。その結果,HamiltonのLMC説が適用できないこれらの種においても性比は一般に大きく雌に偏り,また,それは種内でも状況に応じてしばしば大きく変動するという点で一般の全倍数性昆虫と全く対照的であることを明らかにした。次いで,そのような種を対象に,無交尾産卵(産雄単為生殖)の効果を補償するために交尾後に雌を多く産むという仮説(巌佐,1982;Godfray,1993;大塚,1993など)の妥当性を,雌雄の配偶過程と性・遺伝子型間相互作用を組み込んだ個体群モデルを用いて詳しく検討し,次の諸点を明らかにした。1.無交尾産卵型は交尾待機型に比べて進化的にも圧倒的に有利である。 2.前者の個体群の実現雌比は個体群密度のほか,雄の探索効率,可能交尾回数,雌個体ごとにみた雄の攻撃分布の不均一性など,様々な要因に限定されて変動・低下しやすい。 3.個体群密度が大きく変動している場合,通常の抽出調査によって推定される平均雌比は高密度時(域)の値に引きずられて過大推定となる可能性が高い。これらの結果は,さきの実態解析で明らかにした半倍数性昆虫における性比の特徴一雌への偏りと変動性一をよく,説明するとともに,野外における見かけ上の未交尾雌率の低さからこれまで一般には軽視されがちだった上記の仮説に対し,あらためてその妥当性を裏書きするものと考えられる。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)