Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 1999: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1998: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 1997: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Research Abstract |
1997,98年度に報告した黒潮域と黒潮続流域の調査点における餌密度を,各調査点で採集されたサンマ仔魚の採集前数日間の成長速度と対応させた。その結果,サンマ仔魚の成長速度は,採集海域の餌密度のみから説明することはできなかった。餌密度とともに採集点の表面水温を考慮すると,高水温,高餌密度の点で採集した仔魚でより成長速度が大きい傾向にあった。一方,カタクチイワシ仔魚について黒潮続流域の海域間で比較すると,餌密度が高い沿岸よりの海域で成長速度が高く,仔魚から稚魚への変態体長が小さいのに対して,餌密度が低い東経160度以東の沖合海域では,成長速度が低く変態体長が大きいことがわかった。 以上3年間のから,サンマおよびカタクチウワシ仔魚が利用できる環境中の餌の量が仔魚のエネルギ必要量とほぼおなじ水準にあるために,餌料環境の変動が仔魚の成長速度を左右することがわかった。したがって,原理的には,仔魚の成長量から餌生物生産力を推定することは可能であると判断された。しかし,サンマやカタクチイワシ仔魚は100km/日という速い速度で黒潮から黒潮続流域内を輸送され,それに伴って仔魚の餌環境も短い時間単位で複雑に変動する。仔魚の成長速度は,ある瞬間の摂餌量によって規定されるのではなく,数日間程度の栄養摂取量の累積として決まることを考えると,黒潮・黒潮続流域のように数日間の内に数百キロメートルも輸送される海域では,仔魚の採集前数日間の成長速度を,採集点での餌密度の瞬間値で説明することは難しいと考えられた。流れによる輸送が大きくない内湾などでは,仔魚の成長量から餌料生物生産量を推定するという本研究の試みは可能であると考えられ,今後の検討が必要である。
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