Research Abstract |
伝染性ファブリキウス嚢病ウイルス(IBDV)による免疫抑制下で,トリレオウイルス(ARV)と大腸菌(E.coli)を用いた混合感染による頭部腫脹症候群の再現を試みた.実験1では,1週齢時のSPF鶏にIBDV993株を経口接種し,3週齢時にARV MJ3810株を点眼接種,その後1,4,7日目にそれぞれ大腸菌を点眼接種した.実験2では,実験1と同様な病原体を用い,未接種および3種の病原体の組合わせで,各群13〜14羽の8群を設定した;A(未接種),B(E.coli),C(ARV),D(ARV+E.coli),E(IBDV),F(IBDV+E.coli),G(IBDV+ARV),H(IBDV+ARV+E.coli).実験1では,頭蓋骨air spaceや中耳内に肉芽腫や炎症性反応などのSHS病変が,ARV感染後のそれぞれの大腸菌感染日数により,2/9羽(1日目),4/9羽(4日目),1/8羽(7日目)にみられた.それゆえ,大腸菌感染日数をARV感染後4日目に設定した.実験2では,肉眼病変がB群の2羽,G群の1羽,H群の3羽にみられた.組織学的には頭部の軽度の炎症性反応を含めたSHS病変が,B群の3羽,D群の2羽,F群の1羽,G群の2羽,H群の5羽にみられたが,頭部皮下織炎は,B群の2羽,H群の4羽のみであった.以上のことから,SHSの発症にはトリレオウイルスがトリガーとして重要ではないかと推察された.
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