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¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1997: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
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Research Abstract |
コナダニの一部は衛生害虫や農業害虫として知られるが,大部分は微生物と同様に自然生態系でスカベンジャーとして機能している。適当な管理を行えば,微生物と同様に資源生物として活用できるはずであるが,これまで全く利用する試みはされていない。一方,コナダニ類分泌腺成分の研究の一環として,大量飼育を目的に,グルコースとトウモロコシ粉を主体とするショウジョウバエ飼育用の寒天培地で飼育したところ,大量の油滴が体内に蓄積することを観察し,油糧資源生物化することを発案した。 しかし,用いた培地では一部のダニのみが生育できるものの,生育速度が遅く,多世代にわたる培地と虫体分解物の繰り返しの摂食により,油滴が蓄積して検出されるものと判明した。培地をダニが好適に生育できる組成に改良すると油滴は観察されなくなった。 一方,コナダニ類の継代飼育は種毎に試行錯誤的に行われており,統一した飼育法はない。培地組成の改良を重ねた結果,生育速度が申請者の慣行的な飼育法である乾燥酵母による飼育と変わらず,しかも多種のダニを共通に継代維持できる汎用培地を完成させることができた。微生物食と考えられるヒゲダニ類,比較的乾燥状態を好み,乾燥酵母だけでは飼育できない一部の食品害虫と衛生害虫のダニを除く,その他のすべてのコナダニ類が簡単な取り扱いで飼育できる。現在,54種(株を含む)を微生物並にシャーレの寒天培地で無菌的に飼育している。飼育の基礎的なデータを現在蓄積中であり,適当な時期に論文で公表したいと考えている。以上の結果,最終の目的には至らなかったが,コナダニ飼育汎用培地の開発という初期の目的は完成できた。
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