植物のストレス応答における新規な全身的シグナル伝達系の解析
Project/Area Number |
09876092
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Applied molecular and cellular biology
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
道家 紀志 名古屋大学, 農学部, 教授 (80023472)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉岡 博文 名古屋大学, 農学部, 助手 (30240245)
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Project Period (FY) |
1997 – 1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 局部的オキシダティブバースト / 全身的オキシダティブバースト / 活性酸素生成反応 / 植物の全身的シグナル伝達 / エリシター刺激 / 過酸化水素 / ジャガイモ植物 / タバコ植物 / 植物の全身的ストレス応答 / ジャガイモ組織 |
Research Abstract |
微生物の感染、異物の侵入、傷害刺激などを一部に受けた植物個体は、直接刺激を受けた組織のみならず全身的に、代謝変動と物質生産を速やかに起こす。刺激を受けた直後の組織では、その場で活性酸素生成反応(オキシダティブバースト:OXB)を急速に高めるが、この局部的なOXB誘導が全身的なOXBをも誘導する現象を見出した。これは、植物のストレス応答における新規な全身的シグナル伝達現象の存在を示唆した。本研究では、ジャガイモ塊茎組織およびその複葉ならびにタバコ植物の葉および個体を用い、局部的OXB誘導物質(菌体エリシター)の局部的刺激処理により、全身的OXBの発生を2種の活性酸素生成測定方法(ルミノールを介した化学発光測定および組織外シトクロムCのSOD感受性還元活性の測定)を開発・解析し、次の成果を得た。1.切断ジャガイモ組織表面へのエリシター処理で、切断後3時間以内は応答がないが、それ以後徐々にOXB応答が現れ、その二次元的発生の可視化・定量を可能にした。2.ジャガイモ塊茎の下端と上端を切断した加齢スライスで、下端断面へのエリシター処理で局部的OXBを誘導すると、数分のラグタイムを経て、上端切断面にOXBが発生した。3.加齢した縦切断塊茎スライスの側壁の一部をエリシター刺激すると、切断面上に、処理部付近から放射状に刻々とOXBが展開した。4.局部的OXBを担うO_2^-生成NADPH酸化酵素系を各種の阻害剤(Ca^<2+>キレート、Ca^<2+>チャネルブロッカ一など)およびカタラーゼやラジカルスカベンジャーの共存下の誘導刺激では、全身的OXBの誘導はなかった、過酸化水素が二次的刺激と判明した。5.全身的OXBの発生基盤は、O_2^-生成NADPH酸化酵素に依存するものと推察された。6.サリチル酸が全身シグナルと考えられているタバコ植物で、一部葉へのエリシター処理が、同一葉の中のみならず、葉柄を経て茎に、茎から他の葉に、サリチル酸関与以前の早さで、OXBを誘導した。7.これらの新現象から、局部的OXBと全身的OXBの発生をつなぐ全身的シグナルシステムの存在を提唱した。
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Report
(2 results)
Research Products
(6 results)