エリスロキロチン遺伝子の胚発生過程における発現の意義の解明
Project/Area Number |
09877006
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
General anatomy (including Histology/Embryology)
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
安田 佳子 近畿大学, 医学部, 助教授 (10025629)
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Project Period (FY) |
1997
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1997)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1997: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | エリスロポエチン / エリスロポエチン受容体 / 脱落膜細胞 / シグナル遮断 / アポト-ジス |
Research Abstract |
1)目的:着床後のマウス胚は卵黄嚢血管や嚢帯血管が形成されるまでは主に子宮内膜由来の脱落膜内で発生が進行する。この時期は胚にとって極度な低酸素環境であるにもかかわらず、マウス胚は急速に成長する。この脱落膜にエリスロポエチン受容体(EPR)のmRNAが発現している。一方着床後のマウス胚でもEPRmRNAはエリスロポエチン(EP)mRNAより先んじて発現し、次で両mRNAが発現する(Yasuda et al.,1993)。このことは胚発生にEPR-EPのシグナル伝達が何らかの働きを担っていることを示唆する。そこでEP-EPRシグナル伝達を断ち胚発生に及ぼす影響をみた。 2)材料と方法:ICR系マウスを用いて、胚着床直後の妊娠4日母獣(膣栓発券日を妊娠0日とする)を麻酔下で開腹し、子宮を取り出し、片側の子宮内に可溶型EPR(SEPR)を、反対側に対照として生食水をあるいは変性可溶型EPR(deNSER)を注入し、子宮を腹腔に戻して閉腹した。3日後に母獣より、脱落膜体(胎児と脱落膜)を摘出し、検鏡後、実験に供した。 3)結果:a)胚成長傷害:SEPRを4.0、0.4、0.08および0.04mg/mlの濃度で処理した子宮から得た脱落膜は、それぞれ88.2、79.7、57.9、37.5%の頻度で蒼白な脱落膜体が出現した。 deNSERやsalineの対照の脱落膜では12.3〜0%の頻度で認められたが、SEPR処理脱落膜体と対照群との間に有意の差(p<0.001、とp<0.01)を示して高頻度に出現した。一方、胚の方は4.0、0.4、および0.08mg/mlのSEPR処理群で、対照群との間に有意差(p<0.001)を示して、胚の成長阻止が認められた。b)脱落膜の変化:脱落膜のEPシグナル遮断によって脱落膜細胞の状態を免疫組織学的に検索したところ、ライフェルト膜外にある巨細胞および2次巨細胞が傷害を受け壊死像を示した。この死をTdT検索したところ陽性反応を示した。従ってEPR-シグナル遮断によって脱落膜巨細胞がアポト-ジス死をすることが判明した。 4)考察:EP-EPRシグナル伝達はマウス胚発生過程で脱落膜細胞の生存を担っている。母獣よりの血液が充分でないとEPR-EPシグナル伝達が傷害され、胚成長が2次的に阻害される。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)