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¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
アミノ酸のひとつであるアルギニンを高用量経口投与したときにマウスでみられる細胞感染抵抗性の亢進機構を解析した。アルギニン含有量のみを変化させ総カロリーを一定とした人工液体飼料(R0,R7,R15,R22:各々のアルギニン含量は100mlあたり0,0.31,0.63,0.88g、このうちR7が通常量)を調製し、ICRマウスに1週間自由摂取させた。各群間で体重に有意差はなかった。 各群マウスにリステリア(Listeria monocytogenes)を感染させ、死亡パターンと臓器内生菌数をしらべたところ、R0群では有意に生存率、生存日数が低く、また臓器内菌数も多かった。R7以上の群では有意差はなかったが、アルギニン含量の高い食餌摂取により生存期間延長と臓器内菌数の低下が認められた。この菌に対する感染防御はマクロファージに依存するので、その活性に及ぼすアルギニン摂取の影響をしらべた。アルギニン摂取量の増加にともない、腹腔マクロファージのPMA刺激に対する活性酸素生成能は高い傾向がみられ、またLPSやIFN-γ刺激に対するNO産生応答も亢進していた。各群マウスの血漿、脾、マクロファージにおけるアルギニンプールにつき高速液クロによる解析を行ったところ、脾細胞やマクロファージ内プールはR0群でも一定に保持されていた。一方血漿内アルギニンプールはR0群のみが有意に低値を示し、R7,R15,R22群では同等であった。 以上の結果から、高用量のアルギニン投与によってマクロファージ活性が亢進し、感染抵抗性が高まること、さらに活性化による細胞内殺菌に関わる機構の亢進が関与することが示唆された。正常アミノ酸のアルギニンによって生体の感染抵抗性を賦活化できる可能性が示されたが、活性化のシグナルにアルギニンがどのように関わるかを明らかにすることが今後の課題である。
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