Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1998: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Research Abstract |
Barrett上皮(short segment Barrettを含む),Barrett腺癌,下部食道腺癌について各種ムチンコア蛋白(MUC1,MUC2,MUC3),Oグリコシド型ムチン糖鎖(91.9H 4D3,M1),p53の発現を検討し,Barrett上皮→intestinal type metaplasia→adenocarcinomaに至る過程を検討した.なお91.9HはSO_3-Galβ1-3(Fucα1-4)GlcNAcを認識し大腸型ムチンで,4D3はNANA-GalNAc類似糖鎖を認識し小腸型ムチン,M1(Baraら)は胃型ムチンの代表と考えられる. 1. ムチンコア蛋白の発現 MUC1はBarrett上皮に79%,下部食道腺癌の42.9%にまたMUC2はそれぞれ33.3%,42.9%に発現していたが,MUC3の発現は認められなかった.MUC1は組織特異性はなく上皮に一様に見られたが,MUC2はBarrett上皮のintestinal type epitheliumにのみ見られ.juctional typeやfundic typeには陰性であった.しかしながら癌化に伴う有意の発現上昇は観察されなかった. 2. ムチン糖鎖ならびにM1の発現 Barrett上皮で大腸型ムチンは50%,小腸型ムチンは30%,胃型ムチンは60%に検出された.組織分布を見ると大腸型と小腸型はintestinal type上皮に見られ,胃型はfundicおよびjunctional type上皮に見られた.腺癌では大腸型ムチンは92%,小腸型ムチンは42%,胃型ムチンは8%に見られた.Barrett上皮の長さによってこれらの発現を検討するといわゆるshot segment Barrett上皮は胃型のムチン優位で,classical Barrett上皮では大腸型のムチンが強く発現していた.また腺癌を伴うBarrett上皮では大腸型が,腺癌を伴わないBarrett上皮では胃型が強く発現していた. 3. ムチン糖鎖とコア蛋白の関連 4D3(NANA-GalNAc類似糖鎖)のapomucinはMUC2と推定されたが,91.9Hのapomucinは今回の実験では不明であった. 以上よりBarrett上皮(short segment→classical Barrett)→intestinal type metaplasia→adenocarcinomaの過程でムチンは徐々に硫酸化糖鎖を持つ大腸型が優位になり,胃型の粘液形質は減少した.これは胃における不完全型腸上皮化生からの腸型胃癌の発生に類似している.
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