Research Abstract |
平成10年度は,当科の遺伝相談外来を通じて集積したヘイリーヘイリー病(家族性良性慢性天疱瘡)患者4家系の,それぞれにおける健常部皮膚,病変部皮膚をcryoultramicrotomyをもちいたpost-embedding免疫電顕法により電顕的に検討した。この方法は樹脂包埋を行わないため抗原性の保持に関しては理想的ともいえる極めて優れた方法である。 まずへイリーヘイリー病の病変部皮膚および正常ヒト皮膚をシュークロース透徹し、凍結固定装置を用いて凍結固定したのち、クリオウルトラミクロトームを用いて、凍結超薄切片を作成した。これらをニッケルグリットに収集し、デスモゾームの構成蛋白であるdesmoplakin I,II, plakoglobin,desmoglein I,II,III,desmocollin I,II,III,adherens junctionの構成蛋白であるvinculin,E-cadhelin,P-cadhelin,actin,α,β,γ-catenin,tightjunctionの構成蛋白であるconnexin,細胞表面糖蛋白であるCD44に対するそれぞれの抗体、金コロイド標識二次抗体と反応させたのち電顕的に観察した。 つぎに正常皮膚と、ヘイリーヘイリー病の健常部および病変部皮膚につき光顕、免疫電顕における結果をそれぞれ比較検討した。ヘイリーヘイリー病における表皮細胞接着蛋白の分布の異常の有無を明らかにするため,免疫電顕については、それぞれの蛋白につき細胞膜からの金コロイドの数を最低200個数えることにより超微形態学的局在の定量的解析を試みた。 以上の如く微細構造レベルにおいて細胞接着蛋白の微細局在分布を定量的に比較し,その結果,ヘイリーヘイリー病の皮膚において分布状態の異常をきたしている細胞接着蛋白を電顕レベルで推定した。
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