歯の硬組織に発現する周期パターンの非ゲノム制御機構に関する基礎的研究
Project/Area Number |
09877341
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Morphological basic dentistry
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
高野 吉郎 東京医科歯科大学, 歯学部, 教授 (90126425)
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Project Period (FY) |
1997 – 1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1998: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Keywords | BZ反応 / 化学的振動反応 / エナメル芽細胞 / パターン形成 / 歯 / 硬組織 / 成熟期 / エナメル器 |
Research Abstract |
本研究は生体の形づくりに遺伝子以外の要因がどのようにかかわるか,との視点から,生体に見られる周期パターンの発現機構とその制御因子の特定を目的としてなされたもので,特にエナメル質成熟過程で発現する動的パターンの制御機構を検討している.本年度は、既に実施したin vitroでの周期パターン形成系の作製実験で得られたデータをもとに,エナメル芽細胞層に発現するパターンの発生周期と個体のバイオリズムの関係を検討した. 飼育環境の明暗周期と成熟期エナメル芽細胞の周期パターン形成に及ぼす影響について: ラットを恒明環境で長期間飼育すると個々のラットの行動パターンに乱れが生じ,生体ホルモンの値や血中カルシウム値等にも大きなばらつきが生じることが知られている.そこで長期間恒明環境で飼育したラットと、通常飼育ラットにおけるエナメル芽細胞の形態変化の周期とSA部がつくる縞状パターンの形態を比較したところ、両群で差がないことが確認され、成熟期エナメル芽細胞のパターン形成を伴う周期的形態変化は、飼育環境の明暗周期から独立した、極めて安定した種に固有なリズム現象であることが確認された。 ラット切歯エナメル器では、乳頭層とエナメル芽細胞層全体にギャップ結合が網目状に発達しており、成熟期のエナメル器が全体として一つの機能ユニットをなしていると考えられる。事実、エナメル芽細胞層に実験的に嚢胞様変化を起こさせ、エナメル芽細胞層の連続性を局所的に分断したところ、嚢胞周囲の広い範囲でGBHAの縞状パターンの消失や乱れが見られたことは、ラット切歯ではエナメル器の細胞層がギャップ結合でつながれた一つの化学反応槽を形成しており、エナメル芽細胞の形態変化はその反応槽に生じた非平衡化学反応が細胞の機能と形態のリズミカルな変化を誘導した可能性を示している。 本研究機関中に得られた実験結果は、生体の形態形成に果たす非グノム反応系の役割の重要さを示すとともに、その本態解明のための足がかりを与えるものと思われる。また、エナメル質形成機構はその実験系として極めて有用であることが示された。
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Report
(2 results)
Research Products
(13 results)