局所的ムコ多糖症としての唾液腺腫瘍-その疾患概念確立のための基礎的研究
Project/Area Number |
09877358
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
病態科学系歯学(含放射線系歯学)
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
程 〓 (程 珸) 新潟大学, 歯学部, 助手 (40207460)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
祐川 和子 岐阜大学, 医学部, 助手 (60115409)
米持 浩子 新潟大学, 歯学部, 助手 (60293213)
木村 信 新潟大学, 歯学部, 助手 (80251825)
朔 敬 新潟大学, 歯学部, 教授 (40145264)
|
Project Period (FY) |
1997 – 1998
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
|
Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1998: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
|
Keywords | 腺様嚢胞癌 / ムコ多糖症 / ヘパラン硫酸プロテオグリカン / 免疫沈降 / 線維芽細胞 |
Research Abstract |
本年度は以下の実験をおこない、唾液腺腺様嚢胞癌由来ACC3細胞とムコ多糖症III型患者由来線維芽細胞(MPS)におけるヘパラン硫酸プロテオグリカン(HSPG)の生合成および分解過程を比較した。その結果、ACC3におけるHSPGの多量分泌/沈着/蓄積の動態にMPSとの類似点がみいだされた。 (1) 細胞培養:上記2種の細胞系および正常肺線維芽細胞(FIB)を35mmまたは60mmペトリ皿で単層培養し、免疫沈降実験のため^<35>S-硫酸と^<35>S-メチオニンによる標識をおこなった。 (2) 免疫沈降法によるHSPGおよびヘパラン硫酸鎖の検出:前項1)のように標識培養された細胞の細胞層および培養上清について、抗HSPG抗体および抗ヘパラン硫酸鎖(HS)抗体をもちいて免疫沈降をおこない、SDS-ポリアクリルアミド電気泳動およびフルオログラフィーで可視化するとともに、抗HS抗体による免疫沈降物の放射活性を測定することにより分解されたHS鎖の量を比較した。MPSでは、細胞層には正常なHSPGコアが検出されたが、培養上清中にはFIBの3倍以上のHS鎖が検出され、不完全な分解物が細胞外へ放出されていると考えられた。これに対しACC3では、細胞層と上清の両方に完全なHSPGが検出されたが、培養上清中の不完全なHS分解物はMPSの約30%であり、FIBよりも若干高い値となった。 (3) パルス・チェイスによるHSPG分解時間の比較:前項1)のように培養した細胞を30分間^<35>S-メチオニンで標識培養した後、1、2、4、8、16時間のチェイスをおこない、前項2)と同様に抗HSPG抗体をもちいた免疫沈降により検出をおこなった。FIBでは、チェイス4時間後にHSPGの総量が10%以下になっていたが、ACC3細胞およびMPSでは25%が残っていた。しかし8時間後には、ACC細胞では5%以下に減少したのに対し、NIPSでは20%が残り16時間後まで残存した。この結果から、MPSではFIBに比較し明らかなHSPG分解代謝の阻害・遅延があると考えられ、ACC細胞はこれらの細胞の中間的な性格を示していると考えられた。またACC細胞において、分泌阻害剤であるBFA存在下でのチェイスにより細胞内にコア蛋白質が蓄積し、16時間後にもほとんど減少しないことから、ライソゾーム系オルガネラを含む分泌後あるいは分泌過程における恒常的な分解が示唆された。したがって、ACC3細胞におけるHSPGの多量沈着/蓄稙は、部分的にはMPSと同様なライソゾーム機能の障害によるものである可能性が示された。
|
Report
(2 results)
Research Products
(10 results)