Research Abstract |
HLA-DRB1領域の対立遺伝子(アリル)とう蝕経験歯数,Streptococcus mutansの数,Lactobacillusの数ならびに歯の汚れとの関係を統計学的に検討した。 1. う蝕経験歯数(DMFT) DMFT=0(50名)群とDMFT>9(34名)群間において,それぞれに出現した各対立遺伝子の数をχ2乗テストを用いて検定した。その結果,全ての対立遺伝子についてDMFT=0群とDMFT>9群間に統計学的有意差は認められなかった。 2. Streptococcus mutans(SM) SMの数をCFUで評価した。CFU<100,000(52名)群とCFU>100,000(31名)群に分け,対立遺伝子の出現頻度を検定した。その結果,SMの数が多い(CFU>100,000)群はDRB1*1201が統計学的有意に少なく,DRB1*1406が有意に多かった。 3. Lactobacillus(LB) LBの数もCFUで評価した。CFU<10,000(48名)群とCFU>10,000(34名)群に分け,対立遺伝子の出現頻度を検定した。その結果,LBの数が多い(CFU>10,000)群はDRB1*11302が統計学的有意に多かった。 4. 歯の汚れ(DI-S) 歯の汚れは,Simplified debris index(DI-S)を用いて評価した。DI-S<0.6(35名)群とDI-S>0.6(43名)群に分け,対立遺伝子の出現頻度を検定した。その結果,歯が汚れている(DI-S>0.6)群はDRB1*0901が統計学的有意に少なく,DRB1*0101とDRB1*1201が有意に多かった。 以上のことから,HLA-DRB1遺伝子は,う蝕経験歯数との直接的な関与は認められなかったが,う蝕発症因子(SM,LB,DI-S)に影響を与えていることが示唆された。
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