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¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
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Research Abstract |
アミンN-オキシドは強力な電子対供与体であり、様々な金属や有機化合物と安定な錯体を形成することが知られているにもかかわらず、これを触媒または触媒の構成配位子とする有機合成反応は殆ど知られていない。いままで顧みられなかった配位子としてのN-オキシド化合物に注目し、その特性を活用した新規合成反応の開発を目的として検討を行った結果、以下の知見を得た。(1)メチルトリオキソレニウムを触媒とする過酸化水素によるオレフィンのエポキシ化反応において、ビピリジンN,N′-ジオキシドの添加が副生するジオールの生成を抑制することを見いだした。これは、N,N′-ジオキシドが反応活性種であるレニウム・過酸化水素錯体に配位し、触媒活性を低下させることなくその酸性度を調節した結果と考えられる。(2)3,3′-ジメチル-2,2′-ビキノリンN,N′-ジオキシド、1,1′-ビイソキノリンN,N′-ジオキシドなど一連の軸不斉N,N′-ジオキシド化合物を、光学活性ビナフトールとの水素結合錯体を形成させて光学分割することに成功した。(3)N-オキシド化合物が強い水素結合能を持つことを利用し、(R)-または(S)-3,3′-ジメチル-2,2′-ビキノリンN,N′-ジオキシドが光学活性プロトン酸の光学純度をNMRにて決定する試薬として有用なことを見いだした。(4)ピリジンN-オキシド誘導体が、アリルトリクロロシランによるアルデヒドのアリル化反応を触媒することを見いだした。これはN-オキシドのケイ素への求核攻撃により生成する超原子価錯体を反応中間体としており、N-オキシド化合物の触媒としての新しい可能性を拓くものである。
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