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¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
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Research Abstract |
上記研究テーマに関して,当初の研究計画をほぼ完了したのでその成果を報告する.筆者は,ヒトデュシャンヌ型筋ジストロフィー症の原因遺伝子であるジストロフィンを欠損した疾患モデル動物(mdxマウス)を用いて,その発症直前の筋ミクロソーム画分で,新規トリプシン様酵素(ジストリプシンと命名)が活性化されることを報告している.本研究では,筋ジストロフィーの発症における,ジストリプシンの病態生理機能について探索した. (1)発症前あるいは初期のmdxマウス骨格筋から,ジストリプシンを大量に精製し,精製酵素に対する特異的阻害剤を探索した.その結果,ある種のメシル酸誘導体が,ジストリプシンに対して有効な阻害効果を示した. (2)この薬物を発症前(5日齢)から1カ月齢までmdxマウスに連日投与し,その発症抑制効果について,CPKの血液中への漏出と筋肉組織の顕微鏡観察を指標として検討したが,精製酵素に対する阻害活性から期待されるほどの強い発症抑制効果は確認されなかった.そこで,さらに強力な薬物を探索する目的で,鳥居薬品で開発中の4種の新規プロテアーゼ阻害剤について検討を行った. (3)精製ジストリプシンのN末端アミノ酸配列を決定する目的で,種種の検討を行ったが,精製度を上げると失活が著しく,また蛋白量が充分でないことから,ジストリプシンを同定することは困難であった. (4)ジストリプシンとともに精製(co-purify)される35K蛋白質のN末端配列を調べたところ,リュウマチ関節炎患者の滑液中の自己抗原と思われる蛋白質p205のトリプシン消化断片のペプチド配列と高い相同性を示し,おそらくこの蛋白質のホモログがmdxマウス罹患筋に存在し,マクロファージによる筋細胞の貪食を促進している可能性が考えられる.現在このペプチド抗体を作成中であり,これを用いてこの蛋白質の病態発症との関連について解析する予定である.
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