Research Project
Grant-in-Aid for Exploratory Research
体節を持つ動物としては劇的に高い再生力を持つヤマトヒメミミズをモデルに、動物においても体細胞を培養してクローン個体が作れるかどうかを検討してきた。最小再生可能断片を知る目的で行った実験から、2体節以上からなる断片は完全な個体にまで再生するが、1体節断片は再生しないことがわかった。自切切断部と体節の隔膜との間にはズレがあるため、1体節断片には連続した完全な体節が含まれないことが再生不能の一因と考えられ、この動物の再生には細胞だけではなく前後方向などを決定する位置情報が必要であることが示唆された。位置情報の乱れとして、本来尾を作るべきところに頭ができるために生じる再生双頭奇形が発見された。この個体が自切すると最初に形成された頭部の後方、つまりもとの個体の前方に位置する切り口からは必ず頭が形成され、新しい頭部には頭尾匂配を形成する活性がないことが推測された。正常断片の再生には腸も参加するが、無腸個体でも再生できる。しかしこの場合、短期間で再生されるのは脳を含む頭部神経節と咽頭を持つ頭部のみであり、正常な尾部は再生されない。さらに、無性個体から生殖細胞を含んだ生殖巣も再生することがわかった。増殖細胞のラベル・追跡実験の結果、生殖細胞となる細胞は再生初期に分裂した後、しばらくの非分裂期を経過した後に生殖巣に侵入し生殖細胞に分化することが示された。様々な動物の生殖細胞系列を特異的に検出することが知られているvasa遺伝子プローブを得ることを目的にPCRを行い2つのクローンを得、そのうち1つは塩基配列からvasa関連遺伝子であることがわかった。本課題研究から、この動物においても体細胞培養クローン作成が容易ではないことが明らかになったので、今後は無性個体断片が有性化再生するときの生殖細胞の起源と、多能性幹細胞としてのネオブラストの研究に重点をシフトさせる。
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