空間反転対称性の破れた超伝導体のスピン・角度分解光電子分光
Project/Area Number |
09J00227
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Biophysics/Chemical physics
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
吉田 力矢 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2009 – 2011
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥2,800,000 (Direct Cost: ¥2,800,000)
Fiscal Year 2011: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2010: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2009: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 非従来型超伝導体 / 対称性の破れ / 角度分解光電子分光 / 軟X線光電子分光 / 軟X線発光分光 / 超伝導ギャップ / フェルミ面 |
Research Abstract |
本年度における研究では、非従来型超伝導の前駆現象としても注目されるURu_2Si_2の「隠れた秩序相転移」について研究を行った。URu_2Si_2は、研究課題の主題である空間反転対称性の破れた超伝導と同様に、対称性の破れと物性との関連が議論されている物質である。以下に今年度の研究実施状況を示す。 1、光電子スペクトルにおける微細構造に関する解析 実験条件を改善したURu_2Si_2の超高分解能光電子分光測定を行った結果、光電子スペクトルに微細構造が観測された。観測された微細構造は2種類存在する。ひとつは、転移温度以下で出現するフェルミ準位近傍の重いバンドに見られるバンドの分裂であり、もうひとつは波数依存性が見られないサテライト構造である。これらの構造の温度変化と波数依存性から、隠れた秩序を特徴づける電子構造であることが示唆された。 2、URu_2Si2の超高分解能放射光三次元ARPES 隠れた秩序相転移前後における電子状態の周期性を議論するために、放射光を利用した超高分解能ARPES測定を実施した。大きな有効質量を持つ電子バンドがZ点近傍に観測され、この構造はK_2依存性を示すことから、バルクの電子状態であることが明らかとなった。試料の温度を転移温度以下にすると、この電子バンドにギャップが形成され、フェルミ準位を横切らないカモメ型のバンドに変化する事が観測された。Γ点では、転移温度以下でのみ、Z点で観測されたカモメ型のバンドと同様の構造が観測され、相転移以下の温度においてΓ点とZ点が等価になっていることが強く示唆される。Γ点とZ点を結ぶ最も単純なベクトルは(001)であり、(001)が隠れた秩序における秩序ベクトルになっている事、そして隠れた秩序相で並進対称性が自発的に破れている事が支持された。
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Report
(3 results)
Research Products
(20 results)