Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2009: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Research Abstract |
遷移金属触媒による有機金属試薬を用いた炭素-炭素結合形成反応は様々な骨格を作り出すことのできる反応であり,これまで多くの研究が精力的になされてきた.遷移金属触媒は1,4付加反応のような1つの結合形成反応だけでなく,タンデムやドミノ反応と呼ばれる,特に1,4-水素-金属交換反応を経由する,多段階反応においても高い活性を示すことが知られている.この反応においては,連続して複数の結合形成を行うことができるため,簡便な操作で複雑な骨格を構築できる有用な手法と言える.私はアルキンに対するカルボメタル化によって形成される2-アリールエテニルロジウム種に関心を持ち,アリールロジウム種への1,4-シフトを利用したロジウム触媒による1,4付加反応についての研究に着手した.ロジウム/ジエン錯体存在下,(E)-1,2-ジフェニルエテニルボロン酸をシクロヘキセノンと反応させたところ,得られた生成物は2-((E)-2-フェニルエテニル)フェニルシクロヘキサノンであった.配位子としてビシクロ[2.2.2]オクタ-2,5-ジエンを用いたところ,予想される1,4付加体は全く生成せず,98%収率で1,4-シフトしてから付加した生成物が得られた.本反応系においてDFT計算を行ったところ,この1,4-ロジウムシフトはロジウム(III)-ヒドリド中間体を経由する機構で進行していることが示唆される結果が得られた.またその1,4-ロジウムシフトの遷移状態のΔG^≠およびカルボロデーションの遷移状態のΔG^≠は選択性において実験結果と良い一致を見せた.またロジウム/キラルジエン触媒存在下,ボロン酸とフェニルプロペニルケトンを用いて反応を試みたところ,適切なキラルジエン配位子を選択することで,2-アルケニルフェニル化体およびアルケニル化体を高選択的に作り分けることに成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アルケニルロジウム種からアリールロジウム種への1,4-ロジウムシフトを利用したロジウム触媒による電子不足オレフィンに対する付加反応の開発に成功した.また密度汎関数法を用いた計算化学的手法によって,その反応経路に関する知見を得ることにも成功しており,その成果は論文として投稿し受理されている.また,不斉反応への展開も達成しており,その成果も論文として投稿し受理されているため,おおむね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
アルケニルロジウム種からアリールロジウム種への1,4-ロジウムシフトを利用したロジウム触媒による電子不足オレフィンに対する付加反応はまだ基質適用範囲も狭く,配位子の効果も明らかとなっていない.密度汎関数法を用いた計算化学的手法によって,これらに関する知見を得ることで,さらなる研究の発展が期待されるため,今後としてはこのような形で研究を推進していきたい.
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