Project/Area Number |
09J00775
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Organic chemistry
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鶴巻 英治 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員・DC1
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Project Period (FY) |
2009 – 2011
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2009: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | ポルフィリン / サブポルフィリン / 湾曲π共役化合物 / ボレニウムカチオン / ホウ素炭素結合 / ポルフィン / サブバクテリオクロリン / カルボラン / 発光材料 |
Research Abstract |
メゾアリールサブポルフィリンは、3つのピロール環が3つのメチン炭素を介して架橋した環状の14π芳香族化合物である。その構造はきわめて単純であるにも関わらず、その合成は近年になりようやく達成され、その化学は端緒が開かれたばかりである。近年の我々の研究により、サブポルフィリンの、14π芳香族性に由来する紫外可視領域の強い吸収および高い発光特性、強いメゾ位の置換基効果など、興味深い性質が次々と明らかにされてきている。サブポルフィリンは中心にホウ素原子を配位した環状化合物であるが、前年度までに、我々はこのサブポルフィリンのボレニウムカチオンの合成とその単離に、安定かつ配位能のないカルボランアニオンを対アニオンとして用いることで成功し、X線結晶構造解析によりその構造が平面構造であることを明らかにした。またそれに対しフェニルリチウム試薬を作用させることで、B-C結合を有する新規サブポルフィリンが生成することを見出している。これらの反応についてさらに詳細に検討を行った結果、ホウ素上にメトキシ基を有するサブポルフィリンは重トリフルオロ酢酸中という比較的穏やかな酸性条件下で、ボレニウムカチオン種となることをNMRスペクトルの測定等で確認した。これらの結果から、酸性条件で行うサブポルフィリンのホウ素上のアルコキシ、またはカルボキシ置換基を変換する反応は平面構造のカチオン中間体を経由するSN1機構で進行し、それに伴いお椀反転が可能であることが強く示唆された。この知見は、サブポルフィリンのお椀型構造という特徴に着目した機能性分子構築において重要である。さらにB-C結合を有するサブポルフィリンの合成についても検討を行い、サブポルフィリンのB-メトキシ体に対し種々のアリールまたはアルキルマグネシウムグリニャール試薬を作用させるという簡便な方法で、高収率で対応するB-C結合を有するサブポルフィリンの合成が可能であることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画ではサブポルフィリンのボレニウムカチオン種に対し、種々の求核剤を作用させ、ホウ素-炭素やホウ素-ケイ素結合を有する新規サブポルフィリンを合成する計画であったが、原料となるボレニウムカチオン種の調製の難しさや、そのルイス酸としての反応性の高さの面で反応の再現性等の点で問題が生じた。しかしながら、比較的穏やかな酸性条件でサブポルフィリンのホウ素-メトキシ体からボレニウムカチオンが生じるという知見をもとに、種々検討を行った結果、種々のグリニャール試薬を用いることで、反応性の高いボレニウムカチオン種を経由することなく簡便にホウ素-炭素結合を有する新規サブポルフィリンを合成できることを見出し、当初の予定以上に有用な合成法を開拓することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の研究結果より、サブポルフィリンのボレニウムカチオン種よりも合成が簡便なB-メトキシ基を有するサブポルフィリンからの直接的なホウ素-ケイ素結合、ホウ素-水素結合を有するサブポルフィリンの合成が可能であると考えられる。炭素求核剤とB-メトキシサブポルフィリンとの反応に関する検討過程で、求核性の高いリチウム試薬との反応では、ホウ素上の置換基が変換されると共に、サブポルフィリンのメゾ位やベータ位に付加する副反応が進行するが、求核剤のより低いグリニャール試薬との反応ではホウ素上が選択的に置換されることが明らかになった。そこで、ホウ素-ケイ素結合やホウ素-水素結合を有するサブポルフィリンの合成に、求核性の高いリチウム試薬では無く、より求核性の低いシリルマグネシウム種やソジウムボロハイドレート、ジイソブチルアルミニウムハイドレートなどの試薬がB-メトキシ置換のサブポルフィリンからの直接的な合成に有効であると考えられる。これらの合成を行うことで、新規サブポルフィリンの合成が可能であると考えられる。
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Report
(3 results)
Research Products
(14 results)