赤外線・ミリ波の新たな観測に基づく銀河相互作用における塵に埋もれた星形成活動の理解
Project/Area Number |
09J00969
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Astronomy
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
稲見 華恵 総合研究大学院大学, 物理科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2009 – 2011
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2009: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 赤外線天文学 / 高光度赤外線銀河 / スターバースト / 活動銀河核 |
Research Abstract |
本研究では、宇宙の星形成を支配する高光度赤外線銀河について多角的・統計的・定量的に調査した。特に、日本の「あかり赤外線天文衛星」および米国の「スピッツアー赤外線宇宙望遠鏡」を駆使したことにより、新しいエネルギー源診断法の確立とスターバースト銀河における物理化学状態を明らかにした。特に、本研究のサンプルは、近傍宇宙のLIRGsを網羅したものであり、初めて均質かつ統計的なデータを用いることによりLIRGsの全体像を捉えた。 本研究員が筆頭研究者として取得した、あかり衛星の2.5-5μm帯の近赤外線分光データを利用し、新たなエネルギー源診断の手法を確立した(図1)。この波長帯では、スターバーストを示唆するダスト粒子・多環芳香族炭化水素(polycyclic aromatic hydrocarbon,PAH)の輝線が3.3μmに、星形成率の指標となる水素原子の再結合線が4.05μmにあり、さらに、AGNに起因する高温の塵からの熱放射(連続光)を観測することができる。スピッツアー宇宙望遠鏡には、この波長帯を分光観測する装置がないために、この情報を得ることは一切できない。特に3.3μmのPAH輝線は、将来ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が打ち上げられた際に、非常に重要な役割を持つ。次に短い波長にあるPAH輝線は6.2μmであり、赤方偏移が4以上の遠方銀河では、望遠鏡の観測可能波長帯の外側(長波長側)にシフトしてしまい、観測が不可能になるためである。この成果により、遠方銀河にも応用することができる新しいエネルギー源診断法を初めて確立することができた。ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の時代には、この業績は非常に重要になることが期待されている。これに加え、4.05μmの水素再結合線の等価幅を調べることにより、銀河を構成する星の年齢を明らかにした。この輝線と3.3μmのPAHダスト放射の放射強度比からは、近傍宇宙にあるLIRGsの電離度も調べることができた。近傍LIRGsの性質をこのように網羅的に調査した研究は初めてであり、これらの成果は高赤方偏移の銀河を調査するための基準点となる。
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Report
(3 results)
Research Products
(22 results)