Project/Area Number |
09J00978
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Geometry
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
馬 昭平 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2009 – 2011
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2009: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | K3曲面 / 非シンプレクティック自己同型 / 有理性問題 / SL(2) / non-symplectic対合 / trigonal曲線 / モジュライ空間 / 有理多様体 / twisted Fourier-Mukaiパートナー / Kahlerモジュライ / 有理写像 / Kummer曲面 / 塩田-猪瀬構造 / Abel曲面 / 塩田-三谷の公式 |
Research Abstract |
本年度はまず対合付きK3曲面のモジュライ空間の有理性に関する論文の執筆に力を注いだ。この原稿は10月に完成し、現在投稿中である。対合付きK3曲面のモジュライ空間は全部で75個あるが、そのうち67個が有理的であることを論文では証明している。その証明はケースバイケースで行うので冗長になりがちだが、私はそのうちのある部分(周期写像の次数の計算)を系統的に整理することで論文の長さを短くできた。こうして整理して抽出した周期写像の次数計算の方法は将来の研究にも広く利用できるものである。上記原稿完成後プレプリントサーバのarXivに発表したところ(arXiv:1110.5110)すぐに反響があり、すでにいくつかの論文で引用されている。 上記論文の執筆と並行して位数3の非シンプレクティック自己同型付きK3曲面のモジュライについても同様の研究を行った。すると総計24個のモジュライが全て単有理的で、そのうち20個が有理的であることが証明できた。研究の過程でそのようなK3曲面の構成方法として「混成分岐」という概念も考案した。 これは有理数係数の因子をうまく利用して異なる次元の不動点集合を扱う概念である。そのようなK3曲面の研究を豊かにすると見込まれる。 また、上記論文に関連して吉川謙一氏にいくつかの対合付きK3曲面のモジュライ空間のテータ零値因子について質問を受けたので、それに応えてそれらのテータ零値因子を明示的にHeegner因子として決定した。 また、より一般に代数群の商空間の有理性問題を探求し、2変数特殊線形群2つの積の既約表現を考察してそのうちの約7割について不変式体が有理的であることを証明した。これはそのうちの一部の場合についてのShepherd-Barron氏の研究を大幅に拡張するとともにより簡明な別証明を与えている。証明で鍵となった論法はより一般に直積群の表現に対しても適用できるもので、今後の応用が見込まれる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
対合付きK3曲面のモジュライは大部分で有理性を証明でき、比較的満足するに足る結果である。また、位数3の自己同型の場合にも同様の結果が得られたので、これは対合特有の現象ではないことが確かめられた。K3曲面を離れてより一般の有理性問題の研究にも着手できたので、これは今後の研究の方向性になる。
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Strategy for Future Research Activity |
表現論や古典的な不変式論を習得して一般の商空間の有理性問題に取り組みたい。また、自己同型付きK3曲面のモジュライの有理性では算術商の扱いに秀でていないことが弱点となったのでこれを克服したい。
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