Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2009: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Research Abstract |
私は昨年度までに,当初計画していた鉄やコバルト触媒ではなく,低原子価のルテニウム錯体を用いることで目的とする反応の開発に成功した.そして、[Cp^*Ru(MeCN)_3]OTfを触媒として用いることでアリールトリフラートをハロゲン化アリールへと変換することが可能であることも見つけていた.今年度はまず,アリールトリフラートをハロゲン化アリールへと変換するに有効であった[Cp^*Ru(MeCN)_3]OTfがアルケニルトリフラートに対し非常に高い活性を示し,温和な条件,短時間でハロゲン化アルケニルへと変換できることを見つけた.さらに,アルケニルトリフラートだけではなく,より求電子性が低く安定なアルケニルトシラート,ジフェニルスルホナートも変換可能であった. また,アルケニルトリフラートがアリールトリフラートよりも著しく反応性が高いことや,立体化学の情報に加え,アリールおよびアルケニルトリフラートの置換基の反応性への影響などを調べることによって反応中間体に関する知見を得た。その結果,アルケニルトリフラートの変換反応は1-ルテナシクロプロペンまたは|^2-アルケニルルテニウム中間体を経ているのに対し,アリールトリフラートの変換反応は|^1-アリールルテニウム中間体を経て反応が進行しているらしいということがわかった. 特に,1-メタラシクロプロペンまたは|^2-アルケニルメタル中間体を経るような形式でアルケニルトリフラートを活性化するような遷移金属触媒反応は過去に例がなく,ルテニウム錯体の新しい性質を発見した学術的意義は大きいと言える.また,アリールおよびアルケニルトリフラートをハロゲン化物へと変換する反応を用いれば,フェノールやカルボニル化合物といった入手容易から簡便にハロゲン化アリール,アルケニルといった有用な合成中間体を合成できるため,この研究成果は,有機合成の観点からも価値のあるものと考えられる.
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