局在スピンを持つ金属酵素活性中心とその模倣錯体の反応機構に関する理論的研究
Project/Area Number |
09J01376
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Inorganic chemistry
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
齋藤 徹 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2009 – 2011
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2009: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 近似スピン射影法 / スピン混入誤差 / 凝縮退分子系 / 化学反応 / ジラジカル / 単状態多配置参照法 / 擬縮退分子系 / 遷移金属錯体 / 非制限計算 / 局在スピン / スピン混入 / 非制限計算法 / 近似スピン射影構造最適化法 / 金属酵素活性中心 / 一重項酸素 / 密度汎関数法 |
Research Abstract |
擬縮退分子系の電子状態の記述は量子化学計算の諸問題の一つである.本研究では遷移金属を含む系の化学反応の理論的解明を最終目的としているが,擬縮退問題に加え電子数が多いため実在系を精度良く記述するのは困難である.そこで最も基本的なジラジカル分子の電子状態及び分子構造を高精度に求めることを目的としている.本年度は昨年度に引き続き,近似スピン射影(AP)した非制限Hartree-Fock(UHF)に基づくCCSD(AP-UCCSD)法をジラジカル系に適用した.特に,シクロ環化合物が開環して1,3-双極子を生じる反応に着目した.その結果,10-100%のジラジカル性を有する様々な1,3-双極子に対してAP-UCCSD法の有用性を示すことができた.具体的にはmethylenecyclopropaneからtrimethylenemethaneが生成するエネルギープロファイルの場合,従来のUHF-CCSDの結果は反応座標の途中で相対エネルギーが過剰に安定化される.これはスピン混入によるものであり,スピン混入を取り除いたAP-UCCSD法の結果はUHF-CCSD法を大きく改善し,参照データとして用いている単状態多配置参照CCSD(MkCCSD)法と良く一致した.また,cyclopropanoneからoxyallylが生成する反応に関しては,従来のUHF-CCSDはoxyallylが遷移状態を経た後の反応中間体とみなすが,本研究のAP-UCCSD法から得られたoxyallylは遷移状態に相当する.また近似スピン射影法に基づく構造最適化(AP-opt)法を用いてoxyallylの最適化を行うと,反応障壁なしにcyclopropanoneを与えた.本研究から得られた計算結果は最近の分光学実験の結果と一致する.このように昨年度までに提案した手法をジラジカル種を含む化学反応に適用し,有用であることを実証した.
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Report
(3 results)
Research Products
(44 results)