Project/Area Number |
09J04318
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
General medical chemistry
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
荒木 徹朗 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2009 – 2010
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2010)
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Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2009: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | アフリカツメガエル / BMP経路 / 表皮形成 / 細胞内シグナル伝達 / EIG121L / 初期胚発生 |
Research Abstract |
BMP経路はTGF-βスーパーファミリーに属するシグナル伝達経路で、様々な器官のがんや肺動脈高血圧症などの遺伝病に関与し、また、初期胚の形態形成や骨形成など、個体発生においても重要な役割を果たしている。これまでの研究から、私はRasによって発現が抑制される新たな因子EIG121L(Estrogen-Induced Gene121-Like)が、BMP経路の活性化を正に制御する因子であることを明らかにしてきた。しかしながらその作用機序や生理的意義は明らかではない。今年度、私はアフリカツメガエル胚においてEIG121LとBMP受容体が細胞膜上で共局在することを見出した。この結果は昨年明らかにしたBMP受容体とEIG121Lの分子間相互作用を裏付ける結果であり、細胞膜上においてEIG121L、がBMP受容体を介して、BMP経路の活性化を促進している可能性を示唆するものである。 さらに、EIG121Lの過剰発現がBMP経路の活性化を促進し得るかという点についてアフリカツメガエル胚と哺乳類培養細胞を用いて検討を行った。その結果、HEK293細胞におけるEIG121Lの過剰発現は低濃度でのBMP刺激時のSmad1のリン酸化を促進する作用を持つことを見出した。また、EIG121L過剰発現胚は神経形成が阻害されることを見出した。BMP経路の活性化は神経分化を阻害することから、EIG121LによってBMP経路が活性化され、神経分化が抑制された可能性を示唆するものである。以上の結果は機能未知遺伝子であったEIG121Lが、表皮分化に必須なBMP経路の活性化を促進する因子であることを強く示唆するものであり、本研究により、これまで理解の進んでいなかった、初期胚発生時の表皮分化における新たなBMP経路制御機構が明らかにされた。今後、疾患モデル等を含む、他の生物種においてEIG121Lがどのような役割を持っているかが明らかにされることで、この新たなBMP経路制御因子EIG121Lの持つ、より普遍的な生物学的意義に迫ることができると期待される。
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