Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
強酸触媒や強塩基触媒は反応不活性な化合物の変換反応に有用である。しかし、触媒の高い酸性や塩基性はしばしば望まない官能基との相互作用を引き起こし、結果として官能基選択性や触媒回転数(TON)の低下を伴う。このような問題を避けるため、近年では弱酸と弱塩基の協同作用を指向した酸-塩基複合型触媒の開発が盛んである。しかしながら触媒構造中の酸点と塩基点の中和による不活性化を避けることは容易ではなく、反応性や触媒回転数などの点において未だ発展途上である。今回我々は、分子内に酸性部位と塩基性部位をあわせもつアミノ有機ホウ素錯体(AOB)を触媒として用いることで、β-ジカルボニル化合物の加アルコール分解反応が進行することを見いだした。本反応は、ほぼ中性pH条件下であるにもかかわらずC-O、C-NまたはC-C結合切断が速やかに進行し、対応するエステルを高い化学収率で与える。TONは最高でおよそ2500に達した。より中性であるにも関わらず、多くの場合で本触媒は単純な強塩基反応剤であるアルカリ金属アルコキシドと同等もしくはそれ以上の反応性を維持しつつ、より高い官能基選択性を示した。β-ジカルボニル化合物の二つのカルボニル基の認識選択性は基質の立体的環境および電子的性質の両者に依存する。また異なる二種類のアルコールの1:1混合溶媒を用いて反応を行うと、より立体的に空いているアルコールが選択性に反応することが明らかとなった。NMR実験や対照実験および過去に報告された類似のAOB錯体の構造学的知見から、この選択性の発現はAOBによるアルコールとβ-ジカルボニル化合物の両方の分子認識に起因していることが明らかとなった。これらの知見からAOBはまずアルコールを取り込み、続いてb-ジカルボニル化合物に選択的に相互作用し活性化する機構が提唱された。
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