量子操作の情報論的可視化とそのエンタングルメントの分析への応用
Project/Area Number |
09J06681
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
原子・分子・量子エレクトロニクス
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡辺 優 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2009 – 2011
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
|
Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2009: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
|
Keywords | 不確定性関係 / 量子推定 / 量子測定 / 測定誤差 / 擾乱 / 非可換性 / 重力波検出 / スピンスクイージング / 情報量 / ノイズ / 量子操作 / Lie代数 |
Research Abstract |
1927年、ハイゼンベルグによって量子系の測定誤差と反作用による擾乱の間に不確定性関係が成り立つことが示唆された。 私は、量子論が統計的な性質を内在していることから、量子測定における誤差や擾乱を定式化するためには、測定データからの推定プロセスが本質的であることに着目した。そこで、統計学、特に量子推定理論を用いることで、任意の量子測定の誤差と測定の反作用による擾乱が、統計学で最も重要な量の一つであるFisher情報量を用いて定式化できることを示した。そして、それらの誤差と擾乱の間に成り立つ不確定性関係を導出することに成功した。 そこで導出された不確定性関係の下限は、これまでに予想されていた交換関係による下限よりも厳しいものであった。さらに、今回新しく導出された下限を達成する具体的な測定過程を構成することにも成功した。 重力波検出など超精密測定が必要となる実験においては、測定過程における誤差や擾乱を最小にすることが不可欠である。誤差と擾乱の間の達成可能な限界を示した私の研究結果は、今後のそれらの実験技術の発展に大きく寄与すると見込まれる。 本研究をまとめた博士論文によって平成23年度の東京大学の理学系研究科研究奨励賞を受賞した。また、KEK研究会「量子論の諸問題と今後の発展(QMKEK4)」や多くのセミナーで招待講演を行った。さらに、不確定性関係は物理学だけでなく人文・哲学分野にも大きな影響を与えたことから「Science of Philosophy of Science(旧:新しい科学哲学をつくる会)」の春合宿セミナーでも招待講演を行った。私の研究結果は、名古屋大学の小澤教授の主張とは完全に相反するものであることから、メディアからも注目され、日経サイエンス,東京新聞,朝日新聞などから取材を受け、日経サイエンス2012年4月号に私の研究内容が紹介された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
量子操作の情報論的可視化を行うことによって、当初期待していなかった物理学の基礎的な問題である不確定性関係が解明できたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究で明らかになった誤差と擾乱の達成可能な限界を、実際の実験系においてどのように実装するかを明らかにし、実験家へ実験方法を提案する。まずは量子光学系や冷却原子系などの実装しやすいと思われる系について提案を行い、その後、重力波検出などの超精密測定へと応用を行う。
|
Report
(3 results)
Research Products
(46 results)