Project/Area Number |
09J07369
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
General medical chemistry
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
伊藤 亜里 東北大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2009 – 2012
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2009: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | B細胞初期分化 / リンパ球前駆細胞 / 転写因子 / LMPP / CLP / HSC |
Research Abstract |
B細胞は、Hematopoietic Stem cells(HSCs)より、Multipotent progenitors(MPPs)、Lymphoid primed multipotent progenitors(LMPPs)、Common lymphoid progenitors(CLPs)の前駆細胞を経て分化する。昨年度までの研究により、転写抑制因子Bach1とBach2の二重欠損マウス(DDマウス)ではB細胞の前駆細胞である骨髄のLMPPs、CLPs数が減少しており、CLPsで上昇するB細胞分化に必須のEBF1の発現が減少していることが明らかとなった。本年度は、第一に、DD CLPsのB細胞への分化能を調べるため、ストローマ細胞とサイトカインとの共培養を行い、B細胞コロニー形成率を限界希釈法で評価した。その結果、DD CLPsではWT CLPsに比べて1.9から13倍B細胞への分化頻度が低下していた。第二に、WTとDDのHSCs、MPPs、LMPPsおよびCLPsでDNAマイクロアレイによる、網羅的な遺伝子発現解析を行った。その結果、DD CLPsでは、B細胞系列の遺伝子発現を確立する転写因子のEbf1、Foxo1およびPax5の発現が低下しており、その下流であるpre-BCR complex遺伝子群の発現が低下している事が明らかとなった。それらの転写因子の上流である、リンパ球分化に重要な転写因子である、Tcf3(E2A)、Ikzf1(Ikaros)およびSfpil(PU.1)の発現はDDとWTで変化が見られなかった。第三に、Bach2がEbf1遺伝子の上流に位置する可能性を探索するため、CLP細胞でmultiplex single cell PCRを行った。その結果、Bach2の発現頻度はEbf1の発現頻度より優位に多く、Ebf1陽性細胞の大部分が、Bach2陽性細胞であった。最後に、Bach2のB細胞系列への誘導能を調べるため、MPPsにBach2を導入し、7日間B細胞への分化誘導を行った。その結果、Bach2を導入した細胞は、B細胞マーカーであるB220^+細胞へと分化した。しかし、pro-B細胞への分化マーカーであるCD19は発現せず、pre-pro-B様の細胞であると考えられた。コントロール細胞では、CD11b陽性細胞しか出現しなかった。これらの結果から、CLPsでBach因子は、互いに機能を補完する形で、Ebf1の転写を促進し、B細胞の系列決定を制御する可能性を見いだした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の目的であった、Bach因子のB細胞初期分化における役割として、CLPsでB細胞特異的遺伝子の発現開始を制御していることを明らかにした。さらに、Bach2を多能性前駆細胞(MPPs)へ発現させるとpre-proB様の細胞に誘導できることがわかった。これらの結果から、Bach因子は多能性前駆細胞からのB細胞の系列決定に重要である可能性を示した。これらの発見は、血液細胞分化の転写ネットワーク全体を理解する上で、重要なものであると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
Bach因子がCLPsでEbf1遺伝子の転写を促進するメカニズムは不明である。今後は、Bach因子の直接標的因子を探索するため、pre-proBで分化が停止しているEbf1欠損細胞を用いてBach因子もしくは、Bach因子とヘテロダイマーを形成する小Maf因子の抗体を用いて、chip sequenceを行う。その結果と、DNAマイクロアレイのデータを照合し、Bach因子の標的遺伝子を探索する。
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