アコヤガイ貝殻の有機基質に着目した貝殻形成の分子機構の解明
Project/Area Number |
09J08138
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
General fisheries
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 道生 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2009 – 2011
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2011: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2010: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2009: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Keywords | アコヤガイ / Pinctada fucata / アラゴナイト / カルサイト / 真珠 / Pif / バイオミネラル / バイオミネラリゼーション |
Research Abstract |
生物が生体の内外に鉱物を主成分とする硬組織を形成する現象(バイオミネラリゼーション)は甲殻類の外骨格、軟体動物の貝殻、人の歯・骨など幅広い生物に見られる普遍現象である。バイオミネラリゼーションは単なる無機化学反応ではなく、そこに含まれる少量の有機基質が鉱物結晶の形成、成長、多形、形態等の制御に関わっていると考えられている。本研究の材料であるアコヤ貝貝殻は内側に炭酸カルシウムのアラゴナイト結晶から成る真珠層、外側に炭酸カルシウムのカルサイト結晶から成る稜柱層と、異なる2つの結晶多形から構成されているのが特徴である。このように同一の場に最安定であるカルサイト結晶と準安定であるアラゴナイト結晶を作り出す機構に、有機基質が関与していると考えられるが、未だそのメカニズムは不明である。そこで貝殻から有機基質を単離・精製し、構造機能解析を行うことで貝殻形成のメカニズムを明らかにすることを目的とした。 アコヤガイの真珠層よりアラゴナイト結晶結合活性を指標に見出されたPif80は真珠層のアラゴナイト結晶形成に重要な役割を持つことが知られている。Pif80の部分断片の組換え体タンパク質を作製し、それぞれのアラゴナイト結晶結合活性の比較を行った。その結果、近縁種のPif80の間でよく保存されている領域の配列がアラゴナイト結晶にやや強く結合する活性を有していることが判明した。現在はさらに他の部位において組換え体の設計および作製を試みているところである。同時に、XRDを用いて真珠層や他のバイオミネラル中のアラゴナイト結晶に含まれる双晶密度の定量を試みた。その結果、真珠層には双晶が他のバイオミネラル中のアラゴナイト結晶よりも少ないことが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アコヤガイの真珠層の形成機構解明を目指し、様々な貝殻のアラゴナイト結晶について結晶学的側面と生物有機化学的側面、両方のアプローチを用いて研究を遂行した結果、多くの新たな結果を得ることができ、そのうちのいくつかの結果を論文として公表することができたため。
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Report
(3 results)
Research Products
(28 results)