放射光解析に基づく終端構造制御酸化物ヘテロ接合の界面エンジニアリング
Project/Area Number |
09J08463
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Applied materials science/Crystal engineering
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉松 公平 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2009 – 2011
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2009: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 光電子分光 / 酸化物薄膜 / 強相関電子系 / 酸化物ヘテロ界面 / PLD法 |
Research Abstract |
層状酸化物では、銅酸化物の高温超伝導に代表される異常物性が報告されている。これらの物質は、二次元的な伝導層が絶縁体のブロック層に挟まれ、強相関電子が伝導層に閉じ込められている。この層状酸化物では、伝導層の枚数が変化するに従い物性が変化することから、伝導層厚さを制御することが強相関低次元状態を理解する上で鍵となる。しかし、伝導層の厚さは数原子層程度と制限され、層状酸化物の電子状態を明らかにするだけでは、強相関電子の低次元状態を理解したとは言えない。 そこで本年度は、典型的な強相関酸化物である三次元構造のペロブスカイト酸化物SrVO3(SVO)を極薄膜化することで、伝導層の厚さを自由に制御した強相関酸化物量子井戸構造を作製し、その電子状態を放射光光電子分光により明らかにした。 V3d状態の角度分解光電子分光スペクトルからSVO膜厚増加に伴い、スペクトル上のピーク構造が高結合エネルギー側にシフトする、新たなピーク構造が出現する、といった様子が見られた。これらの振る舞いは金属量子井戸に典型的な現象であるため、ピーク位置の膜厚依存性の解析を位相シフト量子化則を用いて行った。その結果、計算値は実験値を良く再現し、強相関酸化物SVOにおいて金属量子井戸状態が実現していることが明らかとなった。この量子井戸状態の面内分散を調べるため、ΓXM面でのARPES測定を行った。Γ-X方向では、フラットなバンドとフェルミ準位をよぎるバンドの2種類あるのに対し、X-M方向では後者のバンドしか観察されなかった。計算との比較から、フラットなバンドはdyz軌道由来であり、分散したバンドはdzx軌道由来であると考えられる。一方、dxy軌道由来のバンドは量子化せず、その電子状態はバルクとほとんど変化していない。これら軌道による量子化の有無は、(001)方向の閉じ込めによりz方向に伸びた軌道のみが量子化されたためであり、d軌道の異方性を反映した軌道選択的量子化が起こっている。
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Report
(3 results)
Research Products
(21 results)