Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2011: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 2010: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 2009: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
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Research Abstract |
新規勃興産業の歴史的経緯を分析するうえで,産業革命を契機とする技術進化および経済発展の過程を理解することは必要不可欠である.平成23年度は,こうした問題意識に対して定量的手法を用いて技術の開発過程を分析すること,また科学的源泉からイノベーションに至る過程を把握することに主眼を置いた. 第二次大戦後の勃興した新規産業のひとつであり,またインターネット産業とも密接な関連を持つ発光ダイオードの技術開発過程について,研究を実施した.本成果は,雑誌Prometheusに査読付き論文として採録された.本論文では,技術開発過程での研究者の役割,特に,日本の学位制度の特色である論文博士と課程博士の差異が研究開発のパフォーマンスにどのように作用したのか明らかにした青色発光ダイオード(青色LED)の技術開発過程について,特許および学術論文の後方引用情報を世代別に精査することで,(1)青色LEDの発明は1930年代から続く逐次的,累積的技術開発の賜物であったこと,(2)1960年代から1980年代はアメリカの大企業,それ以前はドイツの公的研究機関が青色LEDに至るまでの技術開発のイニチアシブを担っていたこと,これらのことから(3)破壊的イノベーションに至るまでの技術開発は逐次的技術開発の積み重ねによるものであり,またその過程は国家横断的であることを示した.なお本研究成果についてはUSPTOにて行われたPatents for Decision Makersにてポスター発表を行った.また,半導体レーザー産業と同様イノベーションに対するサイエンスの貢献が大きいと考えられる製薬およびバイオ産業についても,定性的なケーススタディの成果と,科学的源泉とイノベーションの関係に関する定量的調査を組み合わせた分析を行った.特許あるいは論文の書誌情報データを用いた分析を通じ、サイエンスがイノベーションに至る過程での知識フローの把握に務めた.本研究の成果は,Open and User Innovation Work shopおよびSecond Asia Pacific Innovation Conferenceにて口頭発表を行った. これらの成果は新規産業が勃興する過程での歴史的な推移の把握,またサイエンスの貢献を明らかにする上で重要な作業であり,産業分析および技術革新に関する既存研究に対する貢献を果たせたと考えられる.
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