Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
自閉症の成因を自閉性の程度と運動障害との関連性をもとに考察した. 〈対象〉言語発達遅滞と自閉性を訴えて来院した小児200名について対象とした.男児172名,女児28名で,年齢は2.2-5.8歳であった. 〈方法〉1) 幼児自閉性障害チェックリストを作成して自閉性の程度をみた. 2) 神経学的診察を行った. 〈結果〉1) 運動障害のあるものは,軽微運動障害14名,不器用10名であった. 2) 精神発達の程度について,精神遅滞は100名であった. 3) 軽微運動障害のある14名では自閉スコア20未満のものが有意に多かった(p<0.05) 4) 運動発達歴の異常がみられた15名では自閉スコア20未満のものが有意に多かった(p<0.025).これは3)の結果と同様の事態を示している. 〈考察〉 従来の我々の臨床経験,「運動障害があると自閉性が低い」が統計学的に確認された. 染色体異常症では脳性麻痺などの運動障害を呈さない.これに対して,脳性麻痺の成因として,遺伝子異常や染色体異常はなく,胎児期中期ないし後期以降である.以上から,運動障害がある場合の障害発生時期は,胎生の中,後期以降の成因である可能性が高い. 自閉症の成因(遺伝性か否か)や症状(程度の差)については実際には均質ではない.以上より,遺伝子の関与が強い,"より定型的な自閉症"では,自閉性は著しく,発生時期は受精前か胎生のごく初期で,ドパミン系を主体とした系統的な障害であり,したがって錐体路障害を伴わず,他方,胎生中,後期以降の成因による"定型的ではない自閉症"では,自閉性は低く,障害部位は系統的ではなく,錐体路主体の障害の可能性が増加する,と考えられた.
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