液体ヘリウム4薄膜上ヘリウム3単原子層薄膜の2次元凝集現象における量子効果
Project/Area Number |
10120202
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
森下 將史 筑波大学, 物理学系, 助手 (90251032)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福山 寛 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (00181298)
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Project Period (FY) |
1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | 巨視的量子トンネル現象 / 量子核形成 / 2次元フェルミ流体 / 凝集 / ヘリウム / 薄膜 / 超低温 / 比熱 |
Research Abstract |
吸着ヘリウム4(^4He)薄膜上のヘリウム3(^3He)単原子層膜では^3He準粒子間に^4Heの第3音波を媒介とした相互作用が働き、^4He膜厚を介してその強さを調整することにより、^3Heの2次元凝集現象(puddling)や超流動転移の可能性が理論的に予測されている。Grafoilを吸着基盤に用い、約5原子層の^4He薄膜上の^3He単原子層膜の比熱を1mK<T<80mKで測定した。^3Heの面密度は0.38,0.47,1.0nm^<-2>の3種類としたが、いずれも、^3He準粒子の有効質量が裸の原子質量の約1.3倍であるとした理想フェルミ気体の比熱と良く一致し、puddlingを示すような異常は見られなかった。有効質量が重くなるのは^4HeのbackfIowを伴っているためであり、理論予測と定量的によく一致している。理論計算において、^4He薄膜が次の層に成長する近傍において不安定な領域が指摘されている。この不安定性や、吸着基盤の不均一性がpuddlingを生じさせる可能性が残される。 一方、Grafoil上に直接吸着した^3He単原子層固相において、広い面密度領域にわたり、2桁以上に及ぶ温度範囲で温度に反比例する比熱が観測された。これは、局在スピン系の高温域で期待される温度の自乗に反比例する比熱と異なる異常なものである。この異常比熱は様々な多体交換相互作用の強い競合を反映したものと考えられる。交換相互作用を生むスピンの量子トンネル効果による位置の交換過程において、高次の多体交換ではポテンシャル障壁が低く厚いために熱ゆらぎが大きな影響を与え、交換相互作用の大きさが温度に依存して、比熱が異常な温度依存性をもつ可能性が指摘される。これについても理論・実験両面からのさらなる解明が必要である。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)