光転位反応中間体のシグマトロピック水素原子移動に対するトンネル効果
Project/Area Number |
10120204
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
閑 春夫 群馬大学, 工学部, 教授 (40008454)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飛田 成史 群馬大学, 工学部, 助教授 (30164007)
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Project Period (FY) |
1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | 分子内水素原子移動反応 / トンネル効果 / 光フリース転位 / レーザー光分解 / 同位体効果 / 温度効果 / 溶媒効果 |
Research Abstract |
2,4-ジメトキシ-6-(p-トリロキシ)-s-トリアジン(PTTH)の光フリース転位反応中間体における1,3-分子内水素原子移動について速度論的研究及び理論的考察から、そのトンネル機構を究明した。 種々の溶媒を用いてPTTHの266nmレーザー光分解により得られた過渡吸収スペクトルから1,3-分子内水素原子移動の速度を測定した。その結果、アルコールなどの極性溶媒は分子内水素原子移動を促進すること及び出発分子の自己触媒作用があることが分かった。分子内水素原子移動の測定には完全脱水したメチルシクロヘキサンを用い低濃度で実験する必要がある。水素原子移動速度に対しての塩基性触媒による著しい促進作用があることから、PTTHの系ではトリアジン環の窒素原子による分子内触媒な1,3-分子内水素原子移動が起こる可能性がある。また、トリアジン基はかさ高い置換基であるため、立体的な因子が1,3-分子内水素原子移動にどの様に影響を及ぼすのかを検討した。温度効果、H-D同位体効果の実験及び理論的解析の結果、(1)1,3-分子内水素原子移動がトリアジン環の窒素原子を介した分子内触媒的な反応ではなく、直接カルボニル酸素に移動する反応であること、(2)1,3-分子内水素原子移動がボルツマン分布した二つの振動準位からのトンネリングにより進行していること及び(3)トリアジン環のようなかさ高い置換基が付くことにより、トンネリングの頻度因子の減少すなわち水素原子移動のトンネリングに有効な振動が阻害されるということが明らかになった。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)