低温マトリックス単離赤外分光法による希ガス固体中のトンネル反応の研究
Project/Area Number |
10120210
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
中田 宗隆 東京農工大学, 大学院・生物システム応用科学研究科, 教授 (40143367)
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Project Period (FY) |
1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | 低温マトリックス単離法 / 赤外分光法 / トンネル反応 / 配座異性化 |
Research Abstract |
本研究では,トンネル反応を実験的に観測するために,極低温における闇中での単結合軸まわりの回転配座異性化反応の解明に取り組んだ.通常,回転配座異性化の障壁は低く,数百cm^<-1>であると言われていて,室温では複数の回転異性体が平衡状態に達している.一方,アルゴンマトリックス単離された状態では約15Kという低温なので,光照射などによってエネルギーが供給されない限り,配座異性化は起こらないと考えられる.逆に,もし,闇中で配座異性化が起こるのならば,それはトンネル反応の可能性が高いと考えられる.今回,以下の反応について闇中での回転配座異性化を観測した. 1) アルゴンマトリックス単離したシス-2-ブテンと二酸化窒素の分子対にアルゴンイオンレーザー励起の色素レーザー光(590nm)を照射すると,二酸化窒素から酸素原子がシス-2-ブテンに移動してオキシランビラジカルと一酸化窒素が生成し,さらに,それらが結合してニトリトラジカルが生成することが見出された.ニトリトラジカルはシス型とトランス型の両方が観測された.マトリックス単離試料を15Kで11時間,闇中に放置すると,シス型のニトリトラジカルが減少して,トランス型が増加することが見出された.したがって,この配座異性化はトンネル反応で起こっている可能性が高いことがわかった. 2) エタンジアミンは2つのアミノ基をもつ基本的な分子である.しかし,3つの内部回転軸をもつために,その配座は複雑である.アルゴンマトリックス単離したエタンジアミンに赤外光を照射すると,C-C軸まわりのゴーシュ型(2種類)がトランス型(1種類)に異性化することが見出された.この配座異性化反応はアルゴンマトリックス単離された試料を闇中に放置しても同様に起こることが見出された.したがって,エタンジアミンはトンネル反応によって配座異性化する可能性が高いことがわかった.
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Report
(1 results)
Research Products
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