Project/Area Number |
10120214
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
垣谷 俊昭 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90027350)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倭 剛久 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (90251587)
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Project Period (FY) |
1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1998: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | バクテリオロドプシン / レチナール蛋白質 / 断熱型トンネル遷移 / 光異性化反応 / ab initio MO法 / ねじれ座標 / 波束 |
Research Abstract |
ロドプシンやバクテリオロドプシンのようなレチナールを発色団に含むレチナール蛋白質は、光子を吸収してから200fsあるいは500fsの超高速でレチナールの光異性化反応を誘起する。その機構を理解するためには発色団の励起状態のポテンシャル面(特にねじれ座標にたいする)を精度良く求めなければならない。さらに、90度のねじれ近くで振動の波束かどのようにして励起状態と基底状態のポテンシャル面間をトンネル遷移するか理解しなければならない。前の問題に対して、われわれは高度なab initio MO法(sa-CASSCF)をもちいて、発色団の基底状態と励起状態のねじれ座標に対するポテンシャル面の計算を行った。その結果、発色団の近傍にカウンターイオンを配置したモデルでは、平面から60度くらいのねじれ迄はほとんど平坦と見なされるような励起状態のポテンシャル面になり、60度を越えてねじれるとき急激なポテンシャルエネルギーの減少がみられた。それとともに、基底状態のポテンシャル面が上昇し、90度では0.8eV迄接近した。このポテンシャル面は発色団分子は励起されてからしばらくは自分の力ねじれ運動を始めるのでなく、タンパク質等の外部ポテンシャルの影響を受けながらねじれ出すことを暗示する。60度を越えてから自分の力でねじれていき、基底状態への断熱型トンネル遷移を起こすと期待される。われわれはこのようなポテンシャル面を取り入れて、バクテリオ口ドプシンの発色団の光異性化反応の分子動力学的シミュレーションを行った。 そして、発色団は500-800fsで一方向的に光異性化反応をおこす結果が得られた。その過程を見ると、200fsぐらいで90度のねじれがおきており、ポテンシャル勾配のある残りの90度のねじれに300fsもかかっている。このように60度まで平坦なポテンシャル曲線を用いて、実験結果とよく一致する結果が得られた。
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